海事つれづれ五目めし200613 渚の温泉5 伝説の湧水(上)

 

 

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すがる温泉ピカチューの案内板200314

「平家の落人」伝説は海にも山にもあり、登れば息が切れる高知県越知町横倉山には平清盛の孫にあたる安徳天皇の御陵墓があります。追手を逃れて隠れ住んだとはいえ深い山里でどうやって暮らしたのか、他にも適当な場はありそうなものだがと、ついいらんことを考えてしまいます。四国の山をバイクで駆け回っているとその手の案内板をちょくちょく見かけます。事情で落ちぶれはしたが、オレらの先祖は立派な家系であられるぞという貴種流離譚なのでしょう。

 

ちなみに近所にお住まいの歴史ファンのご老人が「あなたの名前は珍しい。尊卑文脈を辿れば桓武天皇に行き着きます。証拠はこれです」とわざわざコピーを添えて教えに来てくれました。へえ~ほんまやろかウチは代々農家のはずじゃがと眉に唾をつけながらもまあ悪い気はしないものですね。それが伝説であれ作り物語であれ、ヒトは時間のパイプで過去とつながり、心のどこかで先祖を意識しているからでしょう。

 

アメリカやオーストラリアの人たちは、苦難の末に移民した先祖の身許を調べても大して面白いこともないらしく、過去より未来を好みます。かつてのアメリカ映画は先住民アパッチとの闘いをハデにやっていましたが、人種と人権が絡むからか近ごろは見かけなくなりました。タブーを回避したハリウッドは未来へ向かい、スターウォーズに登場する顔のない兵隊やロボットの軍勢を殺しまくってストレス解消しているかの如くです。未来物はアメリカ映画の独壇場で、みんな前を向けと言わんばかりです。

 

Chinaは4000年、Koreaは半万年の歴史を自称しますが、中華人民共和国は1949年に生れた若い国であり、朝鮮半島に勃興した国々もまた事あるごとに国家そのものが名を変えました。その点、内戦といっても知れたもの、ざっくり1300年もの歴史を文字で遡れ、古代と現代の間に豊かな中世を孕む日本はかなり珍しい国です。

 

分けることが大好きな学者によって日本文学史上代、中古、中世、近世、近代、現代と6通りもの区分があります。文化史をそこまで細分化する必要があるのか、そんなことをする国が他にあるのか寡聞にして知りませんが、天皇系図を軸に一気通貫する国ならではの歴史分類ではあります。ハンチントン教授が日本を「一国家一民族」と規定したように大陸文化の果実をいただきながらも、政治的には海で絶妙の距離を置き、日本は独自文化を発達させました。その日本文化にどっぷり浸ってわれわれは何ということもなく暮らして居るわけですが、国家間に政治的な軋轢があった日には文化の特殊性を意識せざるをえません。

 

小咄です。三人のお母さんが子供を励まして言いました。韓国人「一番になれ」中国人「だまされるな」日本人「仲良くしなさい」三者三様に言い得て妙なところがあります。邱永漢によると中国人が商人なら日本人は職人だそうです。江戸の町民文化はまさしく職人文化であり、こだわりの遺伝子は今なお誰の心にも潜んでいるようだから深く納得します。であんたトコはどうなん? と韓国人に問うたら「ウチは芸人だ」と答えたから韓国の友人のあの顔この顔を思い出し「う~ん当たっとるわ」と大笑いしました。しかしながらこのジョークが本質を衝いているとすれば三者の溝は深いと考えざるをえません。

 

われわれは自国の夢を他国に押しつけているのではないかと思うことがあります。他人も自分と同じように考えているはずだと決め付け、自国の文化の延長線上で他国の文化を解釈し、結果としてひどい目に遭ってきたのが近現代における日本の対外関係史であったと言えるかもしれません。

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ピカチュー教授の「伝説」から飛躍し遠いところまで来てしまいました。元はといえばゴムボートに乗って、釣れた魚が対象魚という五目釣りを目指したブログではありますが、小舟に乗って魚を釣りましたでは書く意味、読む価値があるかどうか、、やや襟を正し、自分とは何か、拠って立つ日本とは何かを、紆余曲折しつつ、あくまで自分の経験をもとに考えます。

200613記 つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

リアルタイムKochi

 

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南国市十市石土池の布袋葵ホテイアオイ 200606

 

 

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高知城お掘りの蓮 200607