室戸岬 200717
地学が得意な知り合いに「29,000年前に姶良カルデラが大噴火し火山灰が高知県宿毛市に20mも積もったらしい。その調査地を知りたいのだが」と問い合わせたら「そんな新しい時代のことは知らない。高知大学の司書にでも聞いてくれ」とそっけない返事をもらいました。29,000年前といえば弥生も縄文もすっ飛ばし、園山俊二の「ギャートルズ」が石器でマンモスを追いかけていた時代です。何でそれが「新しい時代」なのかと首をひねりましたが、どうやら彼は29,000+000年あたりの地質を勉強したらしく、いってみれば昭和史の研究家が、縄文の壺に意見を求められたようなことだったのでしょう。石を叩いて難しい顔をする人は、おれらと違う時計を持っているようでした。
室戸岬 200717
ところがここ室戸岬の世界ジオでは2800~1000年前の時間の推移が目に見えるのです。弥生時代の稲作や平安時代のお姫さまの恋なら小学生でも知っています。ヒトの暮らしと石の歴史が重なるのは凄いことではないでしょうか。1200年前に室戸岬の洞窟で修行した空海は、丸い入り口の向こうに水平線を見たはずですが、それから現代までのわずかな期間に大地が隆起したので、21世紀の観光客は空海より高い位置から海を眺めることになります。
海風に煽られて背を曲げる海岸林のような岩 200717
隆起する室戸岬の渚 200717
元はといえば海の底で、泥が降り積もって石になり、プレートの圧力に押されて隆起し、立ち上がり、ねじ曲がった奇岩怪石は、見る人の心に合わせて空想世界を広げてくれます。ここにギリシャの詩人が降りてきたら、嫉妬に狂った怪力の女神が髪を振り乱して暴れ回った跡であるとか何とか、それらしい物語を創るかもしれません。
岩にへばり付いたヤッコカンザシの巣跡 200717
上と下にヤッコカンザシの巣跡がある岩 200717
岩の上部にヤッコカンザシの巣があり、下部にもありますが、その間には何もありません。その何もないところから大地の隆起を推測した説明が下の看板です。フツーの人ならさっさと歩いてしまうところですが、その道の専門家というのは大変な想像力をもって地層を見ているのだと改めて感心しました。
室戸岬 200717
実はこのヤッコカンザシをイバラカンザシと思い込み、海に潜って撮り溜めた写真を探していたのですが、珊瑚の海で小さな傘を広げるイバラカンザシとヤッコカンザシは別物でした。けっこう手間かけたのにばからしや(~~ です。
褶曲層に置いた太魯閣タロコのキーホルダー 200717
木の年輪のように薄い層を確認するためポケットに入っていた民宿の鍵を置いたところ、宿のご主人がジオの関係で見学にでも行ったのでしょうか、台湾東部の地質的名勝☞華蓮市は太魯閣のキーホルダーが付いていました。Google Mapを開くとフィリピン海プレートがつくる海溝が、室戸沖から琉球弧を経て、台湾東部の華蓮市にぶつかります。言うまでもなく三者の共通点は地震と津波です。
やっと見付けた29,000年前の火山灰の調査地 200723
背後の山は、地下ジゲのものなら誰でも知っているテレビ塔 200723
しかしなぜ宿毛市錦西谷川河口が選ばれたのか分からないので、
苦労した割にはイミがないような、、
200727記 つづく
高知の今
稔り始めた稲田の黄色い標識 200715
今どきの日本にはどこにでも猪がいて
刈り入れ間際の田んぼでシシ祭りをやられると
一晩でめちゃくちゃになります
やむを得ず置いたシシ払いの電気柵ですが、むかし
うっかり牛の電気柵に触っていっぺん懲りの条件反射が付きました
アタマは逃げろと言いますが、体が反応しないのです
濡れた上半身で触れると非常に危険です
田の神様 200715