高速増殖炉「もんじゅ」の入り江に釣り人と遊泳客 2011.08.13
東日本大震災の5カ月後、韓国の友人と連れ立って「もんじゅ」を見たあと大手新聞社の友人を訪ねました。たまたまそこにいたスリランカ人を交えて「もんじゅ」が話題にのぼり「廃炉にせにゃ」というところで意見が一致しました。考えたくないことですが、プルトニウムを使う高速増殖炉で事故ないし攻撃があれば、桁外れの放射能が拡散します。
核燃サイクル図 ネットより
その使用済核燃料を再処理し
プルトニウムをリサイクルしようとするのが
純度を高めたブルトニウムは核兵器にもなります
燃やせば燃やすほどプルトニウムが増える
⇒国産核燃料がつくられるという
魔法の釜になる予定でしたが、
1995年にナトリウム漏洩事故を起こし
廃炉が決定しました
原発大国フランスにはスーパーフェニックスという
高速増殖炉がありましたが、これも問題がつづき
1998年に閉鎖しました
入り口にバイクを停め軽水炉の建屋に隠れた「ふげん」を探していると
「撮影禁止です」と作業員に咎められました。
あらがう理由もないのでバイクを走らせると
入り江の脇に職員用の駐車場があり
バイクを寄せると門柱がしゃべりました
「ただちに移動してください」と
どこかに置かれたレンズが監視所のモニターとつながったのでしょう
長いこと生きてきましたが門柱に叱られたのは初めてです
通常の原発は減速材に水をつかう軽水炉ですが、「ふげん」は重水をつかう重水減速沸騰水軽水冷却型の圧力管型原子炉(長い!)です。目的は「使用済み燃料から回収されるプルトニウムやウランを有効に利用」すること。「ふげん」は研究炉であり事故を起こしたわけではありませんが、今は「廃止措置方法の検討」が行われています。
どの原発にも外来向けの案内所があります。発電の原理をたのしく解説する遊園地のようでもあり、おかあさんに連れられた子どもが大掛かりな展示の前で口をあけて見上げていたりします。原発の優位性を説く施設なので、核が抱える負の側面には触れないのが常ですが、さすがに3.11後はどの案内所にもフクシマで起こった事実と進行中の対策が緊張感をもって展示されていました。
海水浴場から美浜原発を遠望する 2011.08.13
座敷の隅っこでゴキくんを見ただけでヒトは叫び
元気おばさんは新聞紙を丸めて闘いを挑みます^^
なにゆえゴキくんがあれほど嫌われるのか?
感染症から身を守る手段としてヒトの遺伝子に
「おそれ」の感覚がインプットされたからかもしれません
感覚で反応できない未経験の対象には
頭で対抗する他ありませんが、見えず聞こえず
臭いもしなければ触ることもできない放射能に
理屈で反応するには時間がかかります
関係者には失礼ですが、もしも
海水浴場の向こうで事故があったとしても
遊泳客にはピンと来ないでしょう
恐怖感を誘発するサイレンが鳴り響いて
初めてヒトは反応できるのだろうと思われます
美浜原発PRセンター 2011.08.13
PRセンターはテーマパークでもあり
あの手この手のアイデアを盛り込んでいます
ここはタイムトンネルめかした未来空間です
むこうの人影はKoreaの友人弁護士
かつて彼の車で北は軍事分界線から南は
フクシマが韓半島に与えた影響は大きかったと見え
2017年、文在寅大統領は「脱核時代」に進むことを宣言し
代替エネルギー産業の育成を公約しました。
しかし光や風で原子力の代替が可能なら誰も苦労しません
電力が細ったら暮らしと産業をどうするのだろう
凄い決断をしたものだと感心したことです
2019年にソウルで友人と会い
「大統領の公約はどうなったの?」と聞いたら
「あれはまだ先の話だ。原発は動いている」とのこと
ちょっと考えて、なるほどと納得しました
あの国の人たちは勇ましい発言をする割に
長続きしないところがあります
美浜原発PRセンター 2011.08.13
肉厚が20㎝ほどもある原子炉圧力容器の模型
これほど厚く硬く丈夫な鋼に囲まれているのだから
よもや破裂することはないだろうとヒトは体で感じますが、
それはあくまで生きものの感覚にすぎません
ウランを固めた燃料集合体は水にひたされ
高圧水は300度ほどに達して沸騰し
蒸気となってタービンを回し
海水で冷やされて水に戻り
炉心でふたたび熱を持ちという
循環で成り立っていますが
何かの拍子に循環が切られると
ペレットを包んだジルコニウム合金の被覆は溶け
ウラン燃料は3000度ほどの熱の塊となって
原子炉に穴を開け、格納容器の底を溶かし
コンクリートも岩盤も突き抜けて地球の中心に達し
さらにはアメリカの裏側にあるChinaまで到達するというのが
1979年スリーマイル島の核事故をテーマにした
「チャイナシンドローム」でした
が、フツーに考えて
物質が地球の中心に達したら引力を失って止まり
棒かなんかで熱塊の尻を突き上げてやらなければ
Chinaまで到達することはありません~~!
映画だから面白ければよいのですが
まあそんなことはどうでもよいことです
冗談ではない炉心溶融が3.11フクシマで起こりました
電源車は駆けつけたが接続部の規格が合わない
内蔵バッテリーの持続時間は8時間だ
「ともかく水を」という切なる声を聴いた夜
ぼくは布団の中で震えました
2021.09.28 記 つづく