ひとり旅 220222 (番外編)   全ロシア将校協会のウクライナ侵攻は「ある」

 

 

 

 

2014年のソチオリンピック後ロシアがクリミア半島に侵攻したのは2月27日のことでした。それから8年を経た2月20日北京オリンピックが終了し、2月も残すところわずか、一説によると凍結したウクライナの大地を戦車が自由に動きまわれる季節は長くないそうです。だから急げということか、プーチン大統領は2月22日の今日「ウクライナ東部、親ロ派支配地域の独立を承認」しました。NATOおよびアメリカに対し「核戦争に勝者はいない」という人類破滅の声明をもって反撃を塞いだ上、ウクライナ東部に在住するロシア人を保護することはロシアの軍事的義務だというロジックです。日本の歴史においては「満洲」を支えた関東軍に既視感があります。

 

それに対しロシアの退役将校イヴァショフがプーチン辞任を要求しました。「全ロシア将校協会が「プーチン辞任」を要求…!キエフ制圧でも戦略的敗北は避けられない」現代ビジネス 2022.02.16(水) 6:03配信

https://news.yahoo.co.jp/articles/1c2aed745c6a6ff05ac648bd75facca32c8a5577

 

よく整理された論文で勝手な抜粋は憚られますが、

あえて要点を引用列挙します

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ウクライナはロシアとNATO勢力の間にあり、プーチンは”最後の緩衝国家”とみている」「米国は、中国とロシア、二大国を同時に敵に回したくないはずだ。今ならウクライナ問題で妥協を引き出せる」

 

「イヴァショフは、プーチンが強調している”外からの脅威”を否定しない。しかし、それはロシアの生存を脅かすほどではないとしている」「ウクライナにはNATOに加盟する権利がある」「ロシアはウクライナを自分の勢力圏にとどめておきたい」のだが「ロシアは魅力的なシステムを作ることができなかったので、ウクライナは、欧米に行ってしまった」 

 

東欧バルト三国NATO加盟を望んだのは「ロシアが怖いから」だ。「世界のほとんどの国がクリミアを今もウクライナ領と認識している。このことは、ロシア外交と内政の失敗をはっきりと示している」

 

イヴァショフがロシアのウクライナ侵攻に反対する理由は「 第1に国家としてのロシアの存在を危ういものにする。第2にロシア人とウクライナ人を永遠の敵にしてしまう。 第3にロシアとウクライナの若くて健康な男性が、数万人亡くなる」ことだ。

 

イヴァショフは「NATOが結局、ウクライナ側に立ち、ロシアに宣戦布告。ロシア軍はNATO軍と戦い」結果としてロシアは「国際社会で孤立し、おそらく独立国家の地位を奪われるだろう」と予測している。

 

公開書簡は「ウクライナ侵攻をやめること」だけでなく”プーチン辞任”も要求している」「彼と将校協会から見るとウクライナ侵攻はプーチンが自分の権力と富を守るためだけの戦争なのだ」

 

「イヴァショフと全ロシア将校協会は、完全な保守派で、今までプーチンを支持してきた」「そんな強固な支持層だったはずの将校軍団から辞任要求を突きつけられた」「ロシア軍のかなりの数の将校がウクライナとの戦争を望んでいない」「将校たちがプーチンへの忠誠心を失っている」

 

プーチンは「ほぼ無傷で、クリミアを奪った。これは、ロシアから見ると、戦術的大勝利だった。しかし、その後の欧米日の制裁で、ロシア経済はまったく成長しなくなった」「人口1億4600万人のロシアのGDPは、人口5200万人の韓国よりも少ない。つまり、プーチンは戦術的には勝利をおさめたが、戦略的には負けている」

 

ウクライナ侵攻の結果「ロシアは、ドネツク、ルガンスクを完全支配できるようになるだろう。おそらく両州の独立を認めるという形になるはずだが、実際は”完全属国化”だ。 だが、欧米(そして日本も)ロシアに強力な経済制裁を科す。欧米では”ロシアのドル取引を禁止する””SWIFTから除外する”などが検討されている。

 

「ロシア経済が今以上にボロボロになることだけは間違いないだろう。だが、一番悲惨なのは、NATOとロシアに挟まれて翻弄されるウクライナだ。米国情報機関の分析によると、ウクライナ侵攻で首都キエフは2日で陥落。5万人の市民が死傷し、最大500万人の難民が発生するとみられている」

 

「悲劇以外の何物でもないロシアのウクライナ侵攻。プーチンが、将校たちの警告を聞き入れ、思いとどまることを心から願っている」

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以上、本文もさることながら諸氏の書き込みに鋭い見解が置かれています。「ロシアには英雄がいるけれども日本にはいない。しかし日本には智恵ある大衆が控えている」という何かで読んだ文句を思い出しました。ご興味の方はぜひ。

2022.02.22記 つづく