ひとり旅 220327 ロシア編(4 乃木希典 プーチンの特別軍事作戦

 

 

 

 

 

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203高地の攻囲戦 wiki

 

坂の上の雲」に登場する乃木希典は、203高地の攻囲戦において愚将のごとく描かれています。しかし日露戦争で2人の息子を亡くし、明治天皇の大葬礼に合わせて妻静子と共に殉死した乃木希典が、戦場において全くの無能であったのかどうか、そんな男の指令を受けて万を越す兵士が突撃したのかどうか、

 

乃木希典の愚昧な戦いを見かねた児玉源太郎

28センチ榴弾砲他の重砲を投入し

難攻不落の要塞を落としたという異説は

 

「作家の司馬遼太郎が著した小説が初出で世に広まり、以降の日露戦争関連本でも載せられるほどとなった。しかし、司馬作品で発表される以前にはその様な話は出ておらず、一次史料にそれを裏付ける記述も一切存在しない。203高地は児玉が来る前に一度は陥落するほど弱体化しており、再奪還は時間の問題であった」wikiとの記述もあり、史実と空想の狭間でゆれる重要点ではあります。

 

長男と次男を相次いで亡くした乃木が「よく戦死してくれた。これで世間に申し訳が立つ」wikiと述べ、巷間「一人息子と泣いてはすまぬ、二人なくした人もある」という俗謡が流行したことは必ずしもお涙頂戴の作り話とは思われないのです。乃木愚将論が誤りであるとすれば司馬遼太郎による誹謗中傷は、故人の名誉を著しく傷付けたことになります。

 

子息を失い乃木家は断絶しましたが、たまたま友人に外戚の子孫にあたる人がいて時に乃木家秘話を語ってくれます。讃岐の札所に乃木希典の石像があり、その乃木像を見上げ、横の友人を見て顔の輪郭が似ていることを指摘すると彼は何かを思い出したかのように苦笑しました。

 

 

f:id:sakaesukemura:20220327111616j:plain殉死する日の乃木夫妻  ネットより

 

当日の午前中に撮った写真は上記のごとく平静を保っています。夫人のお顔がこわばっているのは、死を確定したことへの怯えかもしれませんが、当時のフィルム感度が鈍く笑顔を保つには長すぎる時間が必要だったからかもしれません。飛ぶ、飲む、吊る、引金を引く、ボタンを押す等自殺の形は様々ですが、しらふで刃を握り自らの腹をかっ割くという恐るべき自決法が、日本以外の国にあるのかどうか、寡聞にしてぼくは知りません。その作法にも各種あるらしく乃木希典は腹を十文字に切り裂く苛烈な自決であり殉死だったそうです。

2022.03.27記 つづく

 

 

 

 

< 追記・2022年の現在史 >

3月23日ゼレンスキー大統領によるオンライン国会演説が行われました。アメリカ議会演説において前後の文脈抜きに真珠湾攻撃をテロリスムと同列に扱ったことへの謝罪はなく、また当初予想された合成開口レーダーのデータを提供せよとの依頼もなく、パンチ力のない演説ではありましたが、おおむね好意的に受け取られたようです。3月24日以来伸び続けた大統領の髭が印象的でした。

 

 

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3月24日ウクライナ軍がロシア軍の揚陸艦を破壊したときの映像

 

3月24日北朝鮮が新型ICBMを発射、71分飛翔したのち日本の排他的経済水域に落下しました。食うや喰わずの貧困国にアメリカまで届く大陸間弾道弾を製造する能力があろうとは思われないので、ロシアないし中国の代理行為と捉えるべきではないでしょうか。ロシアの主敵はNATOの中心にあるアメリカであり、ウクライナ戦争は米ソ冷戦の再来と考えることもできそうです。

 

3月25日「リード米上院軍事委員長は~ ロシア軍が核兵器や生物・化学兵器を使用し、放射線などが北大西洋条約機構NATO)加盟国に飛散すれば、NATOへの攻撃と見なし軍事介入する可能性があるとの見解を示した」(ワシントン共同)

 

3月26日ロシアは軍事戦略を変更し、ウクライナ東部2州に注力すると述べました。ウクライナ軍の反撃を受け後退を強いられたと捉えるのが正解なのでしょうけれど、ロシア軍の不在地にむけ化学兵器生物兵器の使用が可能になるという恐ろしい説もあります。

 

3月27日の日経新聞には「米核使用の厳格化見送り」との記事があります。核使用をにおわすプーチンに対し、場合によればアメリカも使うぞという脅しなのでしょう。ロシア軍が原発の施設にむけて砲撃したことからウクライナ戦争は核爆発と放射能汚染さえ想定される世界大戦の様相を帯びてきました。全人類を人質にプーチン大統領は何を実現しようとしているのか?

 

戦争さえエンターテイメントにしてしまう報道番組では背後の大戦略は見えません。プーチン大統領は何のために「特殊軍事作戦」を始めたのか、最終目的は何なのかと自分なりに探っていますが、虚実おりまぜ無数のニュースが飛び交うなか真相は藪の中です。多種多様なニュースを自分で拾い、自分で編集するほか真実に迫る方法はないのだろうと思います。