国家共同体とは何か? 分をわきまえぬ大テーマですが、そこを避けては話が先に進まないので正面突破する他ありません。GHQは文武両面において占領国を弱体化させました。武器はあっても弾がないのが自衛隊、武ではなくスポーツが讃えられ、教育の中で棘を抜かれたのが平和ボケ世代のぼくらです。敗戦後GHQにもらった憲法前文「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」(変な日本語文ですね) 経済特化した日本はものつくりに於いて20世紀を勝ち抜きました。
アメリカ合衆国は、戦争好きの悪魔と慈愛に満ちたマリア様の両面をもちます。一夜にして東京都民10万人を焼き殺し、2発の核を撃った国でありながら懐に入った窮鳥に対しては、あっけらかんと技術も市場も明け渡し、敗戦国が戦勝国より豊かになるという人類史初のマジックをやってのけた国でもあります。1980年代後半にはパックスジャポニカが謳われ「ジャパン・アズ・ナンバーワン」などという本も出版されました。
TIMEの表紙を飾った大谷翔平
https://time.com/6165003/shohei-ohtani-baseball/
開拓者精神をもつアメリカの人々は
誰もやっていないことをやるのが好き
リスクを背負う挑戦者には惜しみない拍手を送ります
そのアメリカも、ここまで日本に勝たせては不味いと思ったか1990年代には、やっかみ半分の日米半導体交渉他で日本経済を弱体化させ、その後の日本は「失われた10年」が20年30年とつづきました。(端折って言えば) 教育、経済、軍事の3面において日本国は今なお(心地よい)被占領状態にあるといえます。主権国家が軍事的に自律することは当たり前ですが、わが日本国は憲法論議さえままならぬ「茹で蛙」状態です。
普通に考えて日本をふくむ「諸国民」が「公正と信義」に満ちているわけはありません。国が富み軍事力が溜まると為政者の目は外に向かいます。鎌倉時代にはモンゴル元軍が手下の高麗軍を率いて何も悪いことをしていない日本を攻めました。安土桃山時代には豊臣秀吉軍が、朝鮮半島経由で、何も悪いことをしていない明に攻め込もうとしたわけです。
真珠湾をやられて激怒したアメリカは、軍事産業に大規模投資し、日本帝国をこてんぱんにやっつけました。大戦後も軍事経済の自律運動はつづき、ざっくり3年ごとに他国に介入または戦争を作ってきました。以下そういえば聞いたことがあるぞという戦争名がずらりと並びます。
ブリーガー作戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、レバノン危機、ドミニカ内戦、朝鮮DMZ紛争、レバノン介入、グレナダ侵攻、パナマ侵攻、湾岸戦争、イラクの飛行禁止区域施行作戦、ソマリア内戦、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争、ハイチ介入、コソボ紛争、アフガニスタン紛争、イラク戦争、ソマリア内戦へのアメリカの第二次介入、オーシャン・シールド作戦、リビアへの国際介入、オブザーバント・コンパス作戦、リビア介入、イラクへのアメリカ主導の介入、シリアへのアメリカ主導の介入等々呆れるほどです。 (アメリカ合衆国が関与した戦争一覧でネット検索)
それを称して「世界の警察」と呼んだわけですが、さしものアメリカも2008年のリーマンショックを境に凋落し、トランプ大統領はアメリカファーストという格好のよい言葉で内向きの政策をとりました。あやしい選挙を勝ち抜いたバイデン大統領は、まことに格好の悪いやりかたでアフガニスタンから撤退し、今ロシア・ウクライナ戦争に関与してはいますが、かつての勢いはありません。
プーチン大統領によると、国家こそがすべてであり、国家間の集まりは何の役にも立たないそうです。所詮は戦勝5大国の集まりにすぎない国連は、ウクライナ戦争に対し口を鎖したままであり、ゼレンスキー大統領は国連がこの戦争に介入しないのであれば「解散せよ」と激しいことばを投げました。コロナ禍にあって国連傘下の世界保健機関は真っ先にたち働くべきでしたが、WHO議長テドロス氏は、金づるの中国に配慮するあまり初動でたじろぎ、コロナウィルスを武漢で封じ込めることに失敗しました。
Photo libraryより
そのようなことから
チーム⇒ムラ⇒マチ⇒県と拡大する共同体は
国家をもって最終体となります
もしも宇宙人が攻めて来たなら
ただちに内輪の争いは停止され
国家を超えた地球防衛軍が成立するはずですが
まあそのようなことにはなりません
してみれば僕たちは日本国を共同体の最終単位として大切にまもる他ないわけです。敗戦後に強要された憲法には、武器を棄て皆で幸せに生きようやという人類の理想がこめられています。しかし残念ながら先進国は例外なく武器商人であり、隙あらば他国の富を奪おうとする国だらけです。かつての日本は、四海にまもられ特殊な文化を発達させてきましたが、ジェット機が飛びミサイルが行き交う今、荒くれた大陸文化に巻き込まれ、考え方を変えざるを得ない時代に入りました。
220415記 つづく
<2022年の現在史>
ろくでもないニュースばかり配信されるいまオータニ選手の活躍が唯一の救いですが、4月15日のレンジャース戦は満塁ホームランを喫してピッチャー降板です。打者オータニは生きていますが、去年が去年だったので徹底的に研究されたはず、外野席上段に飛び込む胸のすくホームランは今のところお預けです。
上げて書き落して書いて2度おいしい記者の仕事とは別にぼくらは、落ちたところから這い上がる選手の姿に感動します。ここまで落ちればクニへ帰るほかないと思われた筒香選手は、昨秋からヒトが変わったように打ち始め、崖っぷちから生還しました。出だし絶好調の鈴木選手はよしとして戦力外の悲哀をかこつ秋山選手は今後どうなるのでしょう。ファンはスポーツという舞台のむこうに自分の影を見ているのかもしれません。