ひとり旅 220527 ロシア編(17  全ロシア将校協会イワショフ退役大将「プーチン大統領は謝罪すべき」

 

 

 

< 2022年の現在史 >

220222ひとり旅「全ロシア将校協会のウクライナ侵攻は”ある”」 で引用したイワショフ退役大将が、侵攻3ヶ月後の3月16日ふたたび分析と予測を置きました。このように気骨ある人間は日本にいて欲しいと願いつつ前回論文と今回論文を一部引用します。

 

 

イワショフ退役大将

 

2022.02.22ひとり旅での引用部、

「ロシアは魅力的なシステムを作ることができなかったので、ウクライナは、欧米に行ってしまった」「世界のほとんどの国がクリミアを今もウクライナ領と認識している。このことは、ロシア外交と内政の失敗をはっきりと示している」

 

イヴァショフ氏がロシアのウクライナ侵攻に反対する理由は「 第1に国家としてのロシアの存在を危ういものにする。第2にロシア人とウクライナ人を永遠の敵にしてしまう。第3にロシアとウクライナの若くて健康な男性が、数万人亡くなる」ことだ。「NATOは結局、ウクライナ側に立ち、ロシアに宣戦布告。ロシア軍はNATO軍と戦い」結果としてロシアは「国際社会で孤立し、おそらく独立国家の地位を奪われるだろう」ウクライナ侵攻はプーチンが自分の権力と富を守るためだけの戦争なのだ」「ロシア軍のかなりの数の将校がウクライナとの戦争を望んでいない」

 

「ロシアは、ドネツク、ルガンスクを完全支配できるようになるだろう。おそらく両州の独立を認めるという形になるはずだが、実際は”完全属国化”だ」「ロシア経済が今以上にボロボロになることだけは間違いないだろう。だが、一番悲惨なのは、NATOとロシアに挟まれて翻弄されるウクライナだ」

 

以上の分析と予測は

3ヶ月後の今からふり返り

ほぼ当たっています

 

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それから3ヶ月後の2022.05.24テレ朝newsに配信された

プーチン大統領は謝罪すべき」とするイワショフ退役大将の論文を一部引用します

正確には下記URLをご覧ください。

https://news.yahoo.co.jp/articles/ee52e38b84caf9256edb4523673618e1c0699884

 

「大局的な戦略というものは、対立する他国との関係のなかで自国の最大限の利害を探る地政学的に、どんな結果をもたらすかを精査したうえで決定されなければならないのだが、ロシア軍ではその研究が行われていない」「ウクライナ領土のいくばくかは獲得できるかもしれないが、地政学的にはすでに敗北を喫した」

 

アメリカや欧州各国は、NATOの元で団結し、”ひとつの拳”となってロシアを叩きのめすことを長い間、望んでいた。EUもロシアの石炭産業を締め出したかったのだが、結局今回、貿易そのものを止めることになった」  

 

「いまやアメリカと欧州の対立は解消され、アメリカは自らの原理原則のもとに、経済制裁だけでなく、反ロシア、ウクライナ支持という旗の下に、すべての欧州の国々を結集させてしまった」「アメリカがやりたかったことは、19世紀のドイツ帝国宰相ビスマルクが望んだように、ウクライナをロシアから切り離しさえすれば、ロシアに勝てる、ということだった」

 

「1948年8月にアメリカの安全保障会議がまとめた『米国の対ソ戦略』の中で、軍事戦略とならんで中央アジアコーカサス、バルト3国に対する対応が書かれているが、ウクライナについては特に重点が置かれている。そこには、ウクライナ人とロシア人を分けることは困難だ、彼らは一つの民族である、それゆえに亀裂を作り出す必要がある、さらにこの亀裂を政治的対立や軍事紛争にまで拡大する必要がある――と書かれていた」「英米両国にとっては、中央アジアコーカサスもロシアからもぎ離し、ロシアを孤立させる、というのが19世紀末以来の構想だった。 こうした長年の夢を今回の「特別軍事作戦」は実現させてしまった」

 

「たとえキエフ(キーウ)を奪取しても、われわれは世界で孤立している。国連で誰がロシアに賛成票を投じてくれるというのか。中国さえ棄権している。CIS諸国(旧ソ連の国々)も、反ロシアの経済制裁に加わっていくだろう。残るのはベラルーシだけだ」

 

「ロシアがこんなに孤立したことはなかった。スターリンが第二次大戦直前にやったことを思い返してみればわかる。戦争の匂いをかぎ取ったスターリンは、英米というアングロサクソンの大国をさえソ連の側に引き寄せた。日本との関係には問題があった。しかし1941年春、日本の外務大臣松岡洋右)がモスクワを訪問した時、スターリンは自ら4度も会い、出発の際には、未曾有なことだが、スターリンが駅頭で見送ったのだ。外務大臣スターリン自身が見送りにきた唯一の例だ。そして日本と中立条約を結んだ」

 

「1941年6月、ナチスドイツが電撃作戦を開始した当初は困難な立場に置かれたが、スターリン英米ソ連支持を表明することを確信していた。日本も動かなかった。その間、ソ連は日本に対する軍備を整え、蒋介石の国民党にも中国共産党にも援助をして日本をがんじがらめにした」  

 

「ロシアは情報戦争でも『完全に敗北した』ハリコフを取ろうが、たとえ沿ドニエストル地方を奪って戦闘に勝利しようが、対立する他国との関係のなかで自国の最大の利害を探るという『地政学的な』戦争では敗北した」

 

「『勝利勝利!』と叫ばされ、『戦争反対』と言っただけで投獄されるような法律はスターリンの時代にもニコライ二世の時代にもなかった。大統領は知恵と経験のある者たちを集めて虚心に意見を聞くべきだ」

 

「ロシア大統領に電話しようという指導者がこの世界のどこにもいない状況だ。大統領は謝罪し、処罰すべき者を罷免し、政府のトップには「特別軍事作戦」に反対する者を据えることだ。大統領も詫びるのだ。いま世界中の国でロシア人は大変困難な立場に置かれている。ロシア語を話しただけでいじめられたり殴られたりしている。われわれは情報戦争に完全に負けたのだ」

 

「最高の愛国主義者は、テレビでプーチンの腰巾着ぶりを見せる者ではなく、プロの軍人だ。軍人と言う職業を愛し、民衆を思う者こそが最高の愛国者だ。今日ロシアに必要なのはそういう人間だ」……以上、普通に考えて正論です。

 

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アジア太平洋戦争の開戦前にスターリン松岡洋右を駅で「見送った」「そして日本と中立条約を結んだ」⇒その中立条約を破棄し満州に攻め入った。武装解除した日本人をシベリア送りし6万人ともいわれる死者を出した。戦争終結後に北海道鬼鹿沖で引揚げ船を撃沈した、わけでもあります。

 

それにしても「シンゾー、ウラジミール」と名を呼び合い、樺太開発と北方領土をめぐって蜜月を演じた両国首脳の笑顔は何だったのか、騙し騙されは外交の常であるにせよ、政治以前に大陸と島国の大いなる文化的差異を感じます。

 

嘘をつく人の顔には陰があり、満面の笑みをもって他者をだますことは、ぼくらヤマト島の人間にはできません。その文化的背景に何があるのか? ハンチントン教授は世界を7文明に分け、日本を1国家1文明と規定しました。文明のむこうに文化があります。情緒優先のヤマト文化がどのようにしてつくられたかについてぼくは興味があります。

2022.05.27記 つづく