ひとり旅 220616 ハノイのバイク事情(7 山崎圭次 本田宗一郎 細川護煕

 

 

 

山崎圭次氏  山崎技研ホームページより

 

「進め1億火の玉で」突進した日本国は、アジア太平洋戦争において官民合わせ300万柱の命を失いましたが、ひそかに理系の人材は温存していたようです。生き残りのエンジニアが我こそはと先陣を争い、戦後日本には自転車にエンジンを付けた「踏んだらモーター」(もうた⇒回った^^)が雨後の筍のように生まれました。その一人に1912(明治45年)高知市鴨辺部で生まれた山崎圭次氏がおり「この頃の特許庁の出願簿には、本田宗一郎と山崎圭次の名前が順番に連なる」そうです。

 

 

高知空港を飛び立つホンダジェット 2022.01.12

 

ハノイでHondaはバイクを意味します。Hondaの傑作スーパーカブはだいぶ前に世界生産1億台を超えました。1906年(明治39年)生まれの本田宗一郎が戦後のバイク界を席捲したことは誰でも知っていますが、故障したバイクをかき集めては弱点を補強し、どんな乗り方をしても壊れない二輪に仕立てた創業者の夢は、じつは空にありました。1972年「ホンダシビック」で二輪から四輪界に進出したホンダ社は、2017年「ホンダジェット」で空を飛び、2021年に次は「ロケット」をやると宣言しました。本田宗一郎と共に生きたぼくらの世代は、またたく間に二輪からロケットまでの大変化を経験したわけです。

 


「ブルーバード」山崎技研のホームページより

 

一方、創業時の山崎圭次社長はバイクに入れ込み、月産100台を数えたという「ブルーバード」を東南アジアへ輸出しています。現在の山崎技研は金属切削機「フライス盤」を主軸とする会社ですが、同時に「自分らで食べるものは自分らでつくろうや」という創業者の遺志をつぎ環境配慮のもと本業とはまるで違う養殖業に進出し、須崎市浦ノ内と大月町古満目の事業所で稚魚の養殖を行っています。

 

 

「ブルーバード」

 

本田宗一郎は生涯をかけて本業に取り組みましたが、山崎圭次は高知市中心部を流れる江ノ口川が、上流にあるパルプ工場の廃水によって汚染されたことに心を痛め、万策つきて、汚水の排水管を生コンクリートでふさぐという「生コン事件」を引き起こした張本人でもあります。れっきとした会社社長が、罪を犯して守った浦戸湾西岸は今日も緑滴る春です。

 

 

浦戸湾に浮かぶヒミツの小島にて  2022.05.22

 

拙宅から歩いて2分の

浦戸湾にゴムボートを浮かべ

誰もいない小島の神社にご挨拶して

物思いに耽っていると

湾を巡回する観光船がよぎりました

 

 

御畳瀬漁港から浦戸大橋を望む

「浦戸湾のんびりクルーズ船」 2021.05.02

 

そのむかし、元はといえば山崎圭次氏が立ち上げた「浦戸湾を守る会」から、会員の末席をけがすぼくにも呼び出しが掛かりました。出し合い話のなか「浦戸湾を守る」ためには広く広報することも大事⇒「遊覧船事業」を行ってはどうかと提案しました。みなさん浮かぬ顔をして聞き流しておられましたが、ひょっとあの提案がどこかで生きていたのなら嬉しいなと、目の前を行く遊覧船に手を振りながら1990年代にあれやこれやと環境保護運動に手をだしたことを思い出しました。日本経済の絶頂期はカネと引き換えに自然がどんどん崩された時代でもありました。

 

 

「ブルーバード」山崎技研のホームページより

 

幼少期の記憶にかすかに残るチャリバイク

こいつに跨がって桂浜の海岸を走ったら

みんなが振り返るでしょう

ハーレーダビッドソンが青ざめるかも

 

細川護煕元総理大臣が「日本新党」を立ち上げた1992年、入院中の山崎圭次氏を旗頭に「守る会」が新阪急ホテルに細川党首を迎えました。そこで初めて「犯罪者」山崎圭次氏と出会い、明治大正昭和平成を生きた古武士のようなお顔を目の当たりにしました。凛として迷いのない瞳に笑みを湛えた方でした。上記写真は氏に漂う雰囲気をよくあらわしています。

 

片や熊本県知事を退任後、日本新党を結成し、あっという間に総理大臣に登り詰めた細川護煕氏からは政治家のもつ独得の風圧を覚えました。(政治家を評するのは誤解のもとではありますが) 瞳の奥に信念を秘めた人物は、昭和平成までは生き延びたかも知れませんが、令和の今はほぼ失われたのではないでしょうか。自分の職業内ではまず遭遇することのないオーラを間近に感じ、会がはね、帰る道々わが身の卑小さを痛感したことです。ヒトはみな平等なのだけれど人生には大小あることを知りました。

2022.06.16 記 つづく

 

 

 

 

< 2022年の現在史 >

2月24日のウクライナ侵攻を機にルーブルの対ドル価値は急減しましたが、ふたたび値を戻し6月現在、大幅に上昇しています。理由は「石油」「中国」「インド」の三者に集約されそうです。EUの盟主ドイツの前首相メルケル旧東ドイツの出身であり、ロシア・中国と親和性が高いと言われました。気がつけばドイツは、石油・天然ガスの輸入でプーチン大統領に首根っこを押さえられ、後任のショルツ首相は声高にロシア制裁を主張しつつも思うにままならぬようです。一方で中国・インドはロシア産の石油を輸入し、どうやらインドは石油に魔法をかけてEU横流ししてさえいるらしく、ウロ戦争の本質は何がなんだか分からんぞと言うほど入り組んでいます。

 

ウクライナとロシアは穀物の大輸出国でもあります。そのウクライナの広々とした農地に砲弾が打ち込まれ、まだら模様にされた風景は、ひとりの農業者として耐えがたいものがあります。ウクライナは、海路も陸路も封鎖されたようだから、すでに貧しい国の穀物価格は高騰しており、やがて飢餓が世界を覆うだろうとの予測もあります。

 

以下ぼくの想像にすぎませんが、天然資源のみならず食糧が高騰することによってロシアは潤うことから、そこまで先読みしての「特別軍事作戦」であったならプーチンの勝ちとも言えます。加えてロシア・中国は肥料の大生産国でもあり、肥料がなければ食はまかなえないので「窒素リン酸カリ」は静かな兵器ともなります。とすればウロ戦争は⇒食糧安保⇒肥料確保の戦争でもあり、ぼくら農家は既に値上がりした肥料を横目に緊張しています。まあ日本の農水省がそこまで愚かであろうとは思いたくないのですが、、