ひとり旅 220630 Dragon Ballの人類学 (2 雲南省 甘粛省 カラー版 完全版 ダイヤモンドプリンセス号

 

 

 

 

 

Dragon Ball 巻1より

 

巻1扉に作者は「ドラゴンボールの舞台は、なんとなく中国風ではありますが、とくに中国という限定はしていません。時代も、いったいいつ頃なのか決めていません」と記しています。とはいえ悟空だ飲茶だ烏龍だという人物名からして冒険旅行の始まりは「西遊記」に想を借りたものであり、そこにあらわれた水辺の風景は、広西チワン族自治区桂林の漓江をイメージしたのではないかなと思うわけです。

 

 

Dragon Ball

 

雪舟山水画を思わせる漓江は

もとはといえば平たい大地を水が割り

山があらわれ、川が流れた

カルスト地形だそうです。

 

 

Dragon Ball

 

1980年代に「ひとり旅」したとき、地元ツアーに便乗し、漓江下りの舟に乗りました。さして高くもない山々が無数に突起した不思議な光景の中を、おんぼろ舟が客を乗せ、情緒ゆたかにエンジン音を奏でるのでした。カネを払って乗ってお仕舞いの気軽なツァーでしたが、叶うものならブルマと悟空のように気の合う仲間と連れ立って冒険旅行に出たいものです。

 

ホイポイカプセルをボンして船出の苦労をすることなく小舟を浮かべ、たまにルアーを引きながら風の向くまま気のむくままに野宿の旅ができたら愉しかろうなと…しかし四万十川を2日かけてゴムボートで下った経験からいえば、

 

 

漓江 ネットより

 

このように穏やかな日の川は安全に見えますが、のんきにかまえているうちに川幅が狭まり、瀬の流れが早まります。増水時の四万十川では、曲がりの岩場にぶつかった水が水面下で複雑にもまれ、変温層を境に水温は急激に下がるので、何も知らない都会の子が川遊びしているうちに足を取られ悲しい事故を起こすことがよくあります。風光明媚な漓江もナメたらあかんのでしょう。

 

▼6月29日現在のネット情報によると中国各地で大洪水が発生しています。インド洋で沸き上がった雲が、ヒマラヤ山脈にぶつかり、偏西風に乗って日本列島に押し寄せるはずの梅雨前線が、途中で雨を降らせてしまったのかも…日本ではまだ6月なのに梅雨が明けました。高知は年間降水量日本一の県ですが、ひょっとすると今年の夏は、照る照る坊主を墨で塗り「台風来ないかな~」と雨乞いすることになるかも…ダム水位の低下が心配されます。

 

 

モノクロDragon Ball「コミック版」

 

ドラゴンボール巻1の舞台がChina南部の桂林周辺というのは、ぼくの勝手な思い込みで、ひょっとすると内陸の四川省また甘粛省あたりかもしれません。三国志のふるさと成都を歩いていたとき、片言の日本語をつかう(やたらと)親切な若者が声をかけてきて、なにくれと世話を焼いてくれました。むろん見返りをもとめてのサービスでしたが、ことの詳細はさておき中国奥地には高い山がいくらでもある。カネさえ払えば処女峰を狙うことだってできる。「登りたいか?」「いえいえとんでもない」というような遣り取りもしました。

 

断崖絶壁に立つ悟空を見た日本の高校生は、甘粛省の山岳地を舞台とする虎と詩人の物語「山月記」を思い出すのかもしれません。崖の上の天真爛漫な少年の代わりに月に向けて咆哮する人喰い虎を置けば、人生の無残を描く又とない風景に変わります。(山月記を調べているうちに興味深い発見をしたので次回触れます)

 

 

鳥山明自身が彩色したDragon Ball「完全版」より

 

漫画は墨で描く、絵は色を使うと何となく思ってきましたが、マンガに彩色したってよいじゃないかと言われればまあそうです。モノクロの長い物語の途中に色絵が挟まれるとたのしい息抜きになります。鳥山明自身がパソコンで彩色した上記・断崖の悟空を、某編集長が送ってくれました。淡い色彩が禁欲的でモノクロの原画がもつイメージを損ねることはありません。ところが、

 

 

フォトショッパーによるDragon Ball「カラー版」

 

色のご馳走も

たまに食べるからうまいので

朝昼晩と酒池肉林がつづいたら

どんな食いしん坊でもイヤになります

 

某編集長から届いた「完全版」扉絵の淡い色彩を見て、へえ~こんなDragon Ballもあるんだと感動し、キンドルで「カラー版」を求めました。ところが開けてびっくり玉手箱! 左右のページから色機関銃が「原色ギトギト」の十字砲火を浴びせてきたので思わず右上の×をクリックしました。「だから言ったでしょ」と斜め下の眼差しで下記メールが届きました。

 

その(1

「百歩譲ってモノクロ原稿をカラー化するのはまあいいとしましょう。そういうニーズも残念ながらあるんでしょうし。でも“カラー版“が本気で気が狂ってると思うのは、鳥山明本人がカラーで描いてる原稿さえフォトショッパーがわざわざ原色ギトギトに再彩色してることです。もちろん全体の統一のためにやってるんでしょうけど、これはさすがにどうなんだっていう…」

 

その(2

「おっしゃる通り、カラー版は個人的にも全然駄目です。“ドン引きした”と、先のメールでも書いたつもりなのですが…だけど鳥山センセはともかく、(鳥山明の編集担当)鳥嶋さん的には全然これはOKなのだと思います。実際Amazonのカスタマーレビューも絶賛の嵐ですよね。ドラゴンボールをTVアニメとか映画版とかで幅広く楽しんでる層には、オールカラーのこの“カラー版”評判いいんですよ。むしろ色のついてないドラゴンボールは味気ないと思う人もいっぱいいるんだろうなあ…と遠い目をしております」

 

鳥山明原理主義の人間にとっては、無粋な“フォトショッパー”が原色ギトギトに塗りたくった画面は到底耐えられませんが、東映アニメーション制作の安い彩色アニメに慣れ親しんだファンには逆にこのくらいがちょうどいいんだと思います。要は皆さん、鳥山明という天才の仕事に惚れ込んでるんじゃなく、少年ジャンプシステムを高度に体現した“ドラゴンボール”が好きなだけなのでしょう。これは皮肉にも初期の“ドラゴンボール”をギャグと子供エッチで“Dr.スランプ”同様にやろうとして挫折し、大バトル漫画への転換を飲まざるを得なかった鳥山明本人の屈辱とも重なるよなあと思いますね」

 

「誰かが鳥山明と鳥嶋さんの関係を、スティーブ・ウォズニアックスティーブ・ジョブスになぞらえてましたが、かなり納得する部分があります。才能ある一職人の小さな夢を、野心でパンパンの男が強引に世界レベルに引っ張り上げて大成功させてくとこなんかまんまです。結果、その職人も大金持ちになりますが、自分の夢が相方によってズダボロにされたので以後第一線から引いちゃうところなんかも悲しいくらい似てますしね。ふたりの“鳥”と、ふたりの“スティーブ”…こうまとめるとちょっと暗示的でかっこいいですが、本人はたまらんでしょうなあ」

 

買うなら「完全版」の方をおすすめします

「カラー版は心臓に悪いのでご注意を…ってもう遅いみたいですが(笑 」

 

割愛するには余りにも惜しいので

ほぼ全文引用させてもらいました

乞う御容赦(^^

 

2022.06.30記 つづく

 

 

 

 

< 2022年の現在史 >

高知新港に停泊した大型(豪華)客船 2022.06.17

 

高知市から高知新港、高知空港を経由して仕事場へ通っています。2年前ここを経由したダイヤモンド・プリンセス号が横浜港で大騒ぎを起こし、港はずっと閑古鳥でしたが、浦戸大橋のてんぺんから久しぶりに大型客船を見たので寄りました。空港管制レーダーが空しく回っていた高知空港にも常時1~2機の尾翼が見えるようになってホッとしています。

 

コロナ騒ぎは当初より井上正康医師が語っていたこととほぼ同じ道筋を描いて終息しつつあります。結論的な感想を申せば、あれは世界規模のやらせではなかったかと…先生の言いつけをきちんと守った小学生が登下校時にマスクをしていることに不安をおぼえます。梅雨明けの炎天下で、意味もなく酸素濃度を薄くし、子どもの成長をさまたげるのではないでしょうか?

 

国会で「そろそろマスクやめませんか?」という質問に対し、政府は言葉を濁しました。誰も責任を取りたくないようです。ばかばかしいからやめましょうというのが世界のトレンドで、大リーグの観客席ではマスクなんてだいぶ前から誰も付けていません。ひとりChinaばかりが、おそらくはコロナとは違う意味をもたせて、異常な動きをしています。