ひとり旅 220923 (バイク編6 奥の細道  四国巡礼  サンチャゴ巡礼 観光遍路

 

 

 

 

 

 

山形県立石寺

閑かさや岩にしみ入る蝉の声

碑を挟んで左に芭蕉、右に曾良  2013.05.28

 

草の戸も住み替る代ぞ雛の家

と詠んだ松尾芭蕉は門人の曾良とふたり連れで元禄2年(1689)江戸発⇒福島⇒宮城⇒山形⇒新潟とわたり岐阜大垣で150日2400㎞の旅を終えています。距離を日で割ると1日平均16㎞ほどの行程となります。

 

 

「えんぴつで奥の細道ポプラ社より

 

蚤虱馬の尿する枕もと (をねぐらとし)

ひとつ家に遊女も寝たり萩と月 (と微妙に洒落た) 

江戸版ドミトリーで雑魚寝することもありましたが、風流に思いを寄せる芭蕉シンパの歓待を受けて長逗留した日もあったようです。急ぎの日にはヒトの平均歩行速度5㎞/h×8時間として40㎞ほど歩く日もあったことでしょう。

 

 

四国88ヶ所  ネットより

 

ちかごろ四国巡礼1200㎞を50日かけて1番札所の霊山寺から88番大窪寺まで歩き抜いた友人がいます。単純平均24㎞/日になりますが「標高500mの山を日に2回登った」こともあれば「ちょうどの地点に宿がなくて多い日には35㎞少ない日は17㎞と日によって随分差がありました」とのこと。最期は足のマメとの闘いだったようです。それにしても「日に24㎞を歩き抜いたキミはえらい」とホメたら「いやバイクで3500㎞を飛ばしたアンタもえらい」とお返しの言葉がもどってきました。バイクは椅子に座ってハンドルを握れば機械が運んでくれます。88カ所を自分の足で歩く巡礼はバイク乗りよりずっとえらいです。

 

 

サンチャゴの道 Google map

 

フランス・パリ発⇒ピレネー山脈を越えスペインの大西洋岸サンチャゴ・デ・コンポステーラまで「馬とふたり連れ!」で往復した友人がいます。Google mapを見ると片道1451㎞、徒歩(歩き詰め)で300時間とあります。いわゆる「サンチャゴの道」欧州の巡礼道です。

 

 

サンチャゴの道を行く馬の背の友人

 

馬上から撮ったユニークなアングル

長く伸びた足がトロイの木馬を連想させます

 

馬に跨がる巡礼とは「たのしそうですね」と言ったら「たまには乗せてもらうけれど馬だって背中が重いとしんどいから一日の大半は手綱を引いて一緒に歩きます」とのこと。聞いた話をまとめると、車なら給油所でカネを払えばよいけれど馬は飼い葉をやらねばならない。地元の農家と交渉し運がよければ馬も自分も夕食にありつける。馬小屋と寝室を提供してもらえた日はラッキーだけど路傍で馬と一緒に寝る夜もある。苦労は多いが交渉の過程で人と会わざるをえず、車ですっ飛ばしては分からない地元の雰囲気が伝わってくる…という次第で普通に歩いて50㎞/日くらいのものだそうです。Google mapの1459㎞÷50㎞/日=29日になりますが急ぐことが目的ではないし馬だって毎日50㎞も歩かされたらイヤになるでしょう。馬は”道草を食い”ヒトは木蔭で昼寝したい日もあるわけで随分のんびりした旅だったようです。

 

それにしても馬と連れだって

サンチャゴ・デ・コンポステーラ

という不思議な旅を思いついたのは何故か?

 

ロシアがソ連と呼ばれていた

1979年にアフガン侵攻

1986年にチェルノブイリ原発事故

1989年にアフガン撤退

国力を落としたソビエト連邦共和国は

1991年に崩壊⇒15の独立国家に分裂しました

 

2022.02.24に始まったプーチン大統領による特別軍事作戦⇒ウクライナ侵攻が行き詰まり「ロシア軍が発射したミサイルがザポリージャ原発の原子炉建屋から約300mに着弾し爆発した」(読売新聞2022.09.19)という恐ろしいニュースが配信される中、反転攻勢に出たウクライナ軍は被占領地の奪還を始めたようです。

 

予断は許さぬものの上記ソ連邦の崩壊過程は、プーチン政権下のロシアの近未来を暗示しているのかもしれません。安倍晋三元首相と「シンゾー」「ウラジミール」と互いに名を呼び合った頃とは別人のようにプーチン大統領は人相が険しくなりました。国葬反対の動きを局所拡大的に伝える日本メディアの怪しげな動きとは別に安倍元首相の暗殺後間を置かず感情の言葉をのせて弔電を送ったウラジミールは今なおシンゾーの不在を惜しんでいるようです。国際会議は国家元首がもつ人格と迫力の交渉です。しかるに歴史の大舞台で堂々と振る舞える骨相の持ち主が現在の政権与党に多く居るようには見えず、ましてや…

 

真っ白の政治家は原理的に存在しませんが

メディアは政治家に100点を要求し

フォーカスした部分において正義感あふれる

中学生みたいな論陣を張っています

という愚痴はさておき

 

いよいよ追い詰められた「Vladimir Putin大統領は9月21日、予備役の部分的動員を発表した演説で、ウクライナ侵攻で核兵器を含めすべての軍事手段を行使する用意があるとし、「はったりではない」と表明した」(JIJI.COM 2022.09.22配信)

 

真相はさておきプーチン大統領元側近が「ロンドンに核の脅威がある」と発言したというニュースも流れています。とすればイギリスだって核保有国だからロシアに核発射の兆候があれば先手を打つかもしれず、ロンドンが燃え、モスクワが燃え、同盟国のニューヨークが燃え、ついには東京がという連鎖反応が全くないとはいえないことになります。核戦争は論外として世界中にある原子炉が曝露すれば核爆弾とは桁外れの放射性物質が環境中に放出されます。▼当面はサボロジエ原発周辺にいる兵士が原子炉にまつわる教育を受けていることを願う他ありません。

 

閑話休題

馬と歩いた友人は旧ソ連の「アフガン侵攻」後、医療協力を目的として欧州の仲間とともにアフガンに渡りました。命あって彼は戻りましたが、同行の仲間は帰らぬ人となったそうです。サンチャゴへの巡礼は失われた仲間への追悼のためと聞きました。巡礼には人それぞれの事情をかかえた歩き方があるようです。

 

 

高知県大正町下津井アーチ橋下 2008.08.06

スペイン人4人+韓国人5人の細切れ遍路

 

さて、しごと半分あそび半分でお四国まわりを始めた韓国人の友人に上記サンチャゴ巡礼の話を伝えたらフットワークの軽い彼は、さっそくスペインに飛び、巡礼先で出会ったスペイン人4人と韓国人5人を連れ、あらためて四国巡礼したいとの連絡がありました。

 

 

大正町四万十川のほとり   2008.08.06

 

旅企画をしながら遍路通の友人に相談しました。「熱中症で倒れたらどうしよう?」「いや、がんばって歩けばすぐそこに寺がある。問題ない」とふざけたことを言う奴もいましたが、経験者の友人は「炎天下は危険だぜ」「真夏の遍路は犬も喰わん」と散々脅してくれました。そんなワケで不安が先走り、やって来た外国人に余計なお節介をしたこともありますが、思えばついこの間まで世界中どこでも気楽に歩けたものです。旅好きはみなコロナ以前の観光世界を恋しがっているのではないでしょうか。

 

2022.09.23記 つづく