ひとり旅 221008 バイク編 (その1 積丹半島 泊原発 上小阿仁村 五島列島 対馬

 

 

 

 

 

積丹半島からニセコ方面を望む 2022.07.25

 

中央のドームは泊原発。その奥に青く盛り上がった山が羊蹄山。若いころ何も知らずにカワサキGPZ400㏄で走っていると目の前に美しい富士山があらわれました。なんで北海道に富士が?と一瞬わが目を疑いましたが、富士によく似た山体は香川の讃岐富士、青森の岩木山など各地にありますね。ただし山梨と静岡を頂上で分ける本物の富士山は別格で、あれほどのスケールでどんと立ち上がった独立秀峰は世界的にも稀でしょう。

 

その青い山並みの右手に寿都町があります

高レベル放射性廃棄物の最終処分地として

手を挙げた自治体です

 

事の始まりはわが高知県津野町(旧東津野村)でした。当時ぼくは隣の梼原町で暮らしていたので、四万十川の源流域にトンネルが掘られ、トレーラーが行き来し、鉄条網で囲われた敷地の地下300mまで立坑が掘られ、そこを基点に水平坑道が蜘蛛の巣のように広がり、万年単位の半減期をもつ放射性廃棄物が寝かされるのはゾッとしない話だと思っていました。強力な放射線発生源を持ち込まれて嬉しい自治体はどこにもありません。そもそも未来永劫に渡って放射線を発する高レベル放射性廃棄物に「ゴミ」という日常語を被せ「核のゴミ」などと誤魔化すのはやめ、もっときっちりした議論をしてくれんかなと思ったことです。

 

とてもゴミとは呼べない廃棄物をわれら高知の津野町が受け入れようとするのはなぜか? 「いずれどこかが受け入れねばならない」「国の為だ」とする論法でした。そう言われると反論は難しいのですが、当時の高知県知事橋本大二郎氏は「それほどまでに国を思うのであればカネの話はするな」と一喝して誘致論は終息しました。「クニの為」「カネの為」と語ればキリがない二元論をひとことで断じた哲学に圧倒されました。

 

これで高知の処分地問題は終わりかなと思っていると海沿いの東洋町でまたぞろ鎌首をもたげました。過疎の町を二分する原発選挙の結果、反対派候補が当選し、誘致問題は消滅しましたが、その過程で処分地とは別の軋轢もあったようです。後日某紙記者の取材に同行したとき橋本大二郎知事は新町長を評し「人格的に問題がある」云々きつい表現をしたことを覚えています。選挙のテーマは原発だけ行政経験も政治哲学も薄い候補ではあったようです。

 

 

核廃物誘致地図 ネットより

 

意図したわけではありませんが上記地図のほぼ全てをバイクで走りました。走ったからといって何が見えるわけでもありませんが雰囲気は感じられます。自然が豊かな田舎とりたてて産業のない過疎地域といったところが核廃物誘致の共通項でしょう。▼かつて学校にまで押し寄せた原発安全神話とは裏腹に東京周辺に誘致の動きがないのは、まあ大人の気持ちとして分からないではないですけど…

 

 

秋田県上小阿仁村  2022.07.22

 

杉と緑の田んぼに囲まれ

交通量の少ない道をトコトコ行くのが

原付バイクの醍醐味です。

 

よそ者には、この村で暮らせるのだから

幸せなことじゃないのって思われるのですけれど

どこに住んでもヒトの心に不満が尽きなければ

解決にはカネが要ります

 

 

五島列島ルルド  2020.08.25

 

マリア様は新上五島町に処分場

誘致論があることをご存じでしょうか

 

ちなみに故高木仁三郎氏は

核物質は廃棄できないので「核廃物」と呼ぶべき

埋めると核管理上の問題が残るから

地上に置けとの持論を展開していました

 

北海道幌延の「幌延深地層研究センター」では地域との3つの約束と称し「研究区域に放射性廃棄物を持ち込むことはしません」「研究終了後は地下施設を埋め戻します」「最終処分場とせず中間貯蔵施設も設置しません」とあります。地域との堅い約束に守られて地下埋設処分の研究を行っているわけですが、では既に発生した核廃物をどこに置けばよいのか?

 

 

対馬 ツシマヤマネコ  2022.10.01

 

原発に併設した貯蔵場は限界が見えてきた。海に捨てるわけにも宇宙へ放り投げるわけにもいかない。かつて大前研一氏は広大なロシアの大地に置かせてもらえないかと発案しましたが今となっては相手にしてもらえないでしょう。モンゴルの強固な岩盤に置かせてもらうという密約説もありましたが、毎日新聞のスクープ後にポシャったらしく続報をみません。

 

2022.10.08記 つづく