ひとり旅 221012  バイク編(その2 2014年のフクシマ サボロジエ原発

 

 

 

 

 

東日本大震災の2011年

2014年、2016年、2022年と

フクシマの放射線被害地域を訪ねました

 

津波被害は核爆発のようなもので目に見える悲劇がヒトの心をゆさぶりますが、見えず臭わず、計測器の数値のみが危険を知らせる放射能禍は何十年、何万年と静かに持続します。あれから11年が過ぎた今フクシマはどうなっているのだろうと今夏バイクで走りました。

 

車は前しか見えませんが、バイクなら風を受けて180度の視野が広がります。おやと思ったらどこでも停車でき、飽きたら進めばよく、解像力100%の風景を行く映画の主人公になったようなものです。作りものの映画には興味を失った今バイクは只でノンフィクションを見せてくれます。その(1) 2014年のフクシマを写真で拾いました。

 

 

福島県川俣町から飯館村にかけての道路脇 2014.11.02

 

山の除染作業とは

道路脇20mの幅で

落ち葉を掻き集め

巨大なフレコンに詰めて

遠くへ運ぶことです

 

 

フレコンの借り置き場 2014.11.02

 

 

秋の森に囲まれた農地にフレコンの土手 2014.11.02

 

当時飯館村の至る所に見られた風景ですが

2022年現在撤去されていました

おそらくフクイチ周辺に移動させたのでしょう

 

 

客土を運ぶトラック 2014.11.02

 

当時、岩手から福島に至る海岸沿いには

日本中のダンプが集まったかと思われるほど

走り回っていましたが今は静かです

                             

                        

飯館村の農地 2014.11.02

 

表土を剥ぎ

客土に置き換えて

工事完了ではありますが

 

農地の除染とは汚染された表土を剥ぎ取り余所から持ち込んだ土と置き換えることです。営々たる作業の結果いったん線量は下がりますが、山には放射性物質が溜まっているので雨が降ったら元の木阿弥です。

 

 

客土に置き換えた上に線量計を置いた  2014.11.02

 

上の日本製は0.76μシーベルト/h

下のロシア製は0.88μシーベル/h 

いずれも黄色ゾーン

 

一般人の年間放射線被曝限度量は1ミリシーベルト、職業人は50ミリシーベルトです。すると線量計0.88μシーベルト×365日×24時間⇒7.7ミリシーベルト/年なので、整地されたばかりの農地にヒトが1年間立ち尽くしたとすれば、足の裏は一般人の被曝限度を超えます。

 

 

県内各所に置かれた公式線量計 2014.11.02

 

公的な計測器は地上1m(性器の高さ)で測ります

経験的には「ぼく式地べた計測」で使う

簡易線量計の半分以下の数値になります

 

 

上記公式線量計の近くの茂みに置いた(上は不具合)  2014.11.02

 

数値は刻々変化し

場所によっても異なり

木の根元、水路の水が滞るところは

極端に高くなることがあります

 

6.36μシーベルト×365日×24時間⇒55.7ミリシーベルト/年なので

職業人の年間放射線被曝限度量を超えます(あくまで足の裏の話ですけど)

 

こまかい数値の意味はわかりませんが、

ロシア人が赤黄緑に色分けした危険サインは

この地で暮らすかどうかの判断材料にはなろうかと思います。

 

 

川俣町山木屋の秋 2014.11.02

 

山間の農村は高知にもありますが

「空は三角、山は壁」です

福島のように山々の稜線がゆるやかにうねり

丘のように流れる大地はありません

 

 

防犯パトロール  2014.11.02

 

どこにでも悪い奴はいるもので

無人化地帯を狙う空き巣対策の自警団です

「高知ナンバー」はとても目立つので

ぼくも追われました

 

 

休校時の川俣町山木屋小学校   2014.11.02

 

その自警団がここまで付けてきたので

「なんなおんしゃあ」

と心の中で喧嘩しながら

睨み付けたらUターンしました^^!

 

 

山木屋小学校の運動場2014.11.02

 

0.269μシーベルト×365日×24時間⇒2.36ミリシーベルト/年

運動場に1年間立ち尽くしたらヤバイかなという数字です

 

 

休校中の飯館中学校 2014.11.02

2020年閉校

 

 

飯館村中学校正門前 2014.11.02

 

2022年現在

問題のない数値に

下がっていました

 

 

黄葉もみじのお屋敷も無人  2014.11.02

 

 

秋の銀杏 2014.11.02

 

小学校で習った

「秋の夕日に照る山もみじ♪」は

東北の歌ではないでしょうか

四国では見たことのない風景がつづきます

 

 

除染作業中の民家の畑 2014.11.02

 

軽々に語ってはいけませんが

ウクライナの今を連想させる

十字架のようにも見えます

 

劣勢に立たされたプーチン大統領は今、戦術核を使うかどうかの瀬戸際にある。危機レベルでいえば米ソが核を突きつけあったキューバ危機以上だ。核をEMP爆弾として上空で爆発させる説も出てきた。これが使われると人体に影響はないが強力な電磁パルスがあらゆる電子機器にもぐり込み文明は終わる等々「ロシアのない地球には興味がない」というプーチン大統領が何を考えているかは76億全人類の命運とともにあります。

 

かつてウクライナは1000発ほどの核保有国でした。それをソ連崩壊後のロシアが召しあげたから丸腰のウクライナは「侵攻」されたのであり、もしもウクライナが今なお核保有国であったらロシアの「侵攻」はなかったろう説があります。死にたくないからやめようかという核vs核の「相互確証破壊」論です。

 

しかし核は爆発力兵器のみならず放射能兵器にもなります。ウクライナ南部のサボロジエ原発の電源が途絶えた。送電用のディーゼル燃料は10日分しか残っていないという恐ろしいニュースを見ました。フェイクだらけの戦争ニュースは眉唾ですが、それが真実なら欧州最大の原発群は、かつての福島第一原発と似た状況にあります。今朝10月12日のニュースでは同原発の副所長が10月10日「ロシア軍に拉致された」とあります。

 

核爆弾と原子炉のもつ放射能量は比較になりません。フクシマは原子炉建屋が吹っ飛んだだけであのような惨状を呈しましたが、かりにサボロジエ原発の炉心が環境に露出する事態になればモスクワを含めて欧州全域が放射能汚染されるでしょう。10月11日には「プーチン大統領IAEA事務局長が会談した」とあります。今ぼくらは独裁国家の恐怖をまざまざと目撃しています。

2022.10.12記 つづく