ひとり旅 220630 Dragon Ballの人類学 (2 雲南省 甘粛省 カラー版 完全版 ダイヤモンドプリンセス号

 

 

 

 

 

Dragon Ball 巻1より

 

巻1扉に作者は「ドラゴンボールの舞台は、なんとなく中国風ではありますが、とくに中国という限定はしていません。時代も、いったいいつ頃なのか決めていません」と記しています。とはいえ悟空だ飲茶だ烏龍だという人物名からして冒険旅行の始まりは「西遊記」に想を借りたものであり、そこにあらわれた水辺の風景は、広西チワン族自治区桂林の漓江をイメージしたのではないかなと思うわけです。

 

 

Dragon Ball

 

雪舟山水画を思わせる漓江は

もとはといえば平たい大地を水が割り

山があらわれ、川が流れた

カルスト地形だそうです。

 

 

Dragon Ball

 

1980年代に「ひとり旅」したとき、地元ツアーに便乗し、漓江下りの舟に乗りました。さして高くもない山々が無数に突起した不思議な光景の中を、おんぼろ舟が客を乗せ、情緒ゆたかにエンジン音を奏でるのでした。カネを払って乗ってお仕舞いの気軽なツァーでしたが、叶うものならブルマと悟空のように気の合う仲間と連れ立って冒険旅行に出たいものです。

 

ホイポイカプセルをボンして船出の苦労をすることなく小舟を浮かべ、たまにルアーを引きながら風の向くまま気のむくままに野宿の旅ができたら愉しかろうなと…しかし四万十川を2日かけてゴムボートで下った経験からいえば、

 

 

漓江 ネットより

 

このように穏やかな日の川は安全に見えますが、のんきにかまえているうちに川幅が狭まり、瀬の流れが早まります。増水時の四万十川では、曲がりの岩場にぶつかった水が水面下で複雑にもまれ、変温層を境に水温は急激に下がるので、何も知らない都会の子が川遊びしているうちに足を取られ悲しい事故を起こすことがよくあります。風光明媚な漓江もナメたらあかんのでしょう。

 

▼6月29日現在のネット情報によると中国各地で大洪水が発生しています。インド洋で沸き上がった雲が、ヒマラヤ山脈にぶつかり、偏西風に乗って日本列島に押し寄せる梅雨前線が、途中で雨を降らせてしまったのかも…日本ではまだ6月なのに梅雨が明けました。高知は年間降水量日本一の県ですが、ひょっとすると今年の夏は、照る照る坊主を墨で塗り「台風来ないかな~」と雨乞いすることになるかも…ダム水位の低下が心配されます。

 

 

モノクロDragon Ball「コミック版」

 

ドラゴンボール巻1の舞台がChina南部の桂林周辺というのは、ぼくの勝手な思い込みで、ひょっとすると内陸の四川省また甘粛省あたりかもしれません。三国志のふるさと成都を歩いていたとき、片言の日本語をつかう(やたらと)親切な若者が声をかけてきて、なにくれと世話を焼いてくれました。むろん見返りをもとめてのサービスでしたが、ことの詳細はさておき中国奥地には高い山がいくらでもある。カネさえ払えば処女峰を狙うことだってできる。「登りたいか?」「いえいえとんでもない」というような遣り取りもしました。

 

断崖絶壁に立つ悟空を見た日本の高校生は、甘粛省の山岳地を舞台とする虎と詩人の物語「山月記」を思い出すのかもしれません。崖の上の天真爛漫な少年の代わりに月に向けて咆哮する人喰い虎を置けば、人生の無残を描く又とない風景に変わります。(山月記を調べているうちに興味深い発見をしたので次回触れます)

 

 

鳥山明自身が彩色したDragon Ball「完全版」より

 

漫画は墨で描く、絵は色を使うと何となく思ってきましたが、マンガに彩色したってよいじゃないかと言われればまあそうです。モノクロの長い物語の途中に色絵が挟まれるとたのしい息抜きになります。鳥山明自身がパソコンで彩色した上記・断崖の悟空を、某編集長が送ってくれました。淡い色彩が禁欲的でモノクロの原画がもつイメージを損ねることはありません。ところが、

 

 

フォトショッパーによるDragon Ball「カラー版」

 

色のご馳走もたまに食べるからうまいので

朝昼晩と酒池肉林がつづいたら

どんな食いしん坊でもイヤになります

 

某編集長から届いた「完全版」扉絵の淡い色彩を見て、へえ~こんなDragon Ballもあるんだと感動し、キンドルで「カラー版」を求めました。ところが開けてびっくり玉手箱! 左右のページから色機関銃が「原色ギトギト」の十字砲火を浴びせてきたので思わず右上の×をクリックしました。「だから言ったでしょ」と斜め下の眼差しで下記メールが届きました。

 

その(1

「百歩譲ってモノクロ原稿をカラー化するのはまあいいとしましょう。そういうニーズも残念ながらあるんでしょうし。でも“カラー版“が本気で気が狂ってると思うのは、鳥山明本人がカラーで描いてる原稿さえフォトショッパーがわざわざ原色ギトギトに再彩色してることです。もちろん全体の統一のためにやってるんでしょうけど、これはさすがにどうなんだっていう…」

 

その(2

「おっしゃる通り、カラー版は個人的にも全然駄目です。“ドン引きした”と、先のメールでも書いたつもりなのですが…だけど鳥山センセはともかく、(鳥山明の編集担当)鳥嶋さん的には全然これはOKなのだと思います。実際Amazonのカスタマーレビューも絶賛の嵐ですよね。ドラゴンボールをTVアニメとか映画版とかで幅広く楽しんでる層には、オールカラーのこの“カラー版”評判いいんですよ。むしろ色のついてないドラゴンボールは味気ないと思う人もいっぱいいるんだろうなあ…と遠い目をしております」

 

鳥山明原理主義の人間にとっては、無粋な“フォトショッパー”が原色ギトギトに塗りたくった画面は到底耐えられませんが、東映アニメーション制作の安い彩色アニメに慣れ親しんだファンには逆にこのくらいがちょうどいいんだと思います。要は皆さん、鳥山明という天才の仕事に惚れ込んでるんじゃなく、少年ジャンプシステムを高度に体現した“ドラゴンボール”が好きなだけなのでしょう。これは皮肉にも初期の“ドラゴンボール”をギャグと子供エッチで“Dr.スランプ”同様にやろうとして挫折し、大バトル漫画への転換を飲まざるを得なかった鳥山明本人の屈辱とも重なるよなあと思いますね」

 

「誰かが鳥山明と鳥嶋さんの関係を、スティーブ・ウォズニアックスティーブ・ジョブスになぞらえてましたが、かなり納得する部分があります。才能ある一職人の小さな夢を、野心でパンパンの男が強引に世界レベルに引っ張り上げて大成功させてくとこなんかまんまです。結果、その職人も大金持ちになりますが、自分の夢が相方によってズダボロにされたので以後第一線から引いちゃうところなんかも悲しいくらい似てますしね。ふたりの“鳥”と、ふたりの“スティーブ”…こうまとめるとちょっと暗示的でかっこいいですが、本人はたまらんでしょうなあ」

 

買うなら「完全版」の方をおすすめします

「カラー版は心臓に悪いのでご注意を…ってもう遅いみたいですが(笑 」

 

割愛するには余りにも惜しいので

ほぼ全文引用させてもらいました

乞う御容赦(^^

 

2022.06.30記 つづく

 

 

 

 

< 2022年の現在史 >

高知新港に停泊した大型(豪華)客船 2022.06.17

 

高知市から高知新港、高知空港を経由して仕事場へ通っています。2年前ここを経由したダイヤモンド・プリンセス号が横浜港で大騒ぎを起こし、港はずっと閑古鳥でしたが、浦戸大橋のてんぺんから久しぶりに大型客船を見たので寄りました。空港管制レーダーが空しく回っていた高知空港にも常時1~2機の尾翼が見えるようになってホッとしています。

 

コロナ騒ぎは当初より井上正康医師が語っていたこととほぼ同じ道筋を描いて終息しつつあります。結論的な感想を申せば、あれは世界規模のやらせではなかったかと…先生の言いつけをきちんと守った小学生が登下校時にマスクをしていることに不安をおぼえます。梅雨明けの炎天下で、意味もなく酸素濃度を薄くし、子どもの成長をさまたげるのではないでしょうか?

 

国会で「そろそろマスクやめませんか?」という質問に対し、政府は言葉を濁しました。誰も責任を取りたくないようです。ばかばかしいからやめましょうというのが世界のトレンドで、大リーグの観客席ではマスクなんてだいぶ前から誰も付けていません。ひとりChinaばかりが、おそらくはコロナとは違う意味をもたせて、異常な動きをしています。

 

ひとり旅 220624 Dragon Ballの人類学 (1 悟空とブルマ 鳥獣戯画 玉虫厨子 ショスターコービッチ

 

 

 

 

 

鳥山明ドラゴンボール」より 以下同じ

 

所詮は金属のかたまりでしかないバイクを

これほど情緒的に描ける漫画家が

鳥山明の他にいるのでしょうか?

 

このバイクは大型エンジンと機関銃二丁を搭載しているので、前部が長く、横にふくらむ砲弾型になっています。リボンが可愛いブルマが燃料タンクに顎をのせるとカウリングを伝った風は背中に沿って後方へ流れ、スロットルレバーを軽く回せば、爆音を残し、あっという間に点になりそうです。

 

シャツを肩までたくし上げたブルマの腕は、たくましいけれど女性特有の肉の柔らかさを予感させます。肘と手首の力が抜けているのは、バイクに乗り慣れているからでしょう。さりげなく描いていますが、ライダーの首筋から背骨、腰骨、大腿骨、爪先の小骨まで骨格はきっちり整っています。やや体を傾けて前方を見るブルマ、シッポでバランスをとりながら筋斗雲から振り返る悟空には、内面からわき出る表情があり、ペンで描いた精密なマシンと相まって独得の情緒をかもしています。 (この原画ほしいな)

 

 

同上

 

悟空をぶん投げた力は

腰に伝わり足で支えられ

デカい尻をもつ男の骨格が

きっちり描かれていることに驚きます

 

某編集長から届いたメールに鳥山明は「単に絵がうまいという次元じゃなく、そもそもモノの見え方とらえ方からして我々とは全然違うんでしょう」とありました。確かにフツーの「見え方とらえ方」ではないので「違う」ことはよく分かるのだけれど「モノの見え方」とは具体的に何か? それは光の反射を網膜で検知することのみならず、衣服にかくれた骨をCTスキャンするX線のような視覚のことではないでしょうか。

 

 

同上

 

衣服は肉に付き、肉は骨に付く

骨と間接の動きが重力と関係して

ヒトの動きを決定づけるので

そこを無理なく描かなければ

子どもの絵になります

 

と理屈を説くのは簡単でも

じゃ描いてみなって言われたら

常人にできることではありません

 

 

同上

 

直下にむかう重力はバイクの円運動による遠心力(向心力)と合成され複雑にベクトルを変えます。その関係式を勘で織り込み、上から下から横から斜めから自然な「とらえ方」ができる漫画家って鳥山明のほかに誰がいるのだろう?  怖い顔は描きやすくても笑顔はむずかしい。ボケをかましてなお生き生きとした人物画とともに情緒ゆたかな物語をつむいだ作家が鳥山明以前にいたのだろうか? 考えれば考えるほど凄いというか、凄さを感じさせないところがまた凄いというか、全コマ暗記したのにまだ飽きない絵画物語…もう面倒くさいから「天才」とくくっておきます。

 

漫画を横に広げて時間を与えると絵巻物になります。変身したランチちゃんが空を飛ぶ上記ページ5つのコマ割りを分離して横に並べると小さな絵巻になります。「ドラゴンボール」1巻ざっくり180ページとして×42巻⇒7560ベージを巨大トイレットペーパー絵巻にすれば、読者の頭の中で個々の絵が合成され長大なアニメーションが生まれます。漫画は静止画の集まりですけど、ぼくらの脳コンピュータに取り込まれ、動きのある映画が作られるワケです。

 

 

鳥獣戯画  ネットより

 

この絵に吹き出しを付け

「ことば入れ競争」をしたら面白いかも

漫画の文字は精米率60%の吟醸酒のようなものだから

俳句をひねるトレーニングになります

 

漫画のルーツをたどれば遠く平安時代の「鳥獣戯画」、飛鳥時代の「玉虫厨子」に行きつくそうです。ウサギやカエルが遊ぶ絵巻物は「異時同図法」という難しい言葉で説明されますが、要は一枚の静止画に異なる時間が織り込まれた時空融合図なわけです。吹き出しをつけて文字を入れたら文句なしの漫画、声優さんが頑張ればアニメーションになりますね。

 

 

玉虫厨子に描かれた捨身飼虎図  ネットより

 

聖徳太子飛鳥時代に描かれた「異時同図法」⇒お釈迦様の前世の一人・薩太子が飢えた虎の親子のために身を投げた一枚の絵ですが、その中に「構える」「飛ぶ」「喰われる」3通りの人物が描かれています。(手塚治虫の「ブッダ」にも好んで蛇に呑まれる聖者のシーンがあります)

 

このあたりを漫画のルーツとすれば

日本人は1500年もの昔から

漫画やアニメに親しんできたことになります

昨日今日のハナシではありません

2022.06.24記 つづく

 

 

 

 

< 2022年の現在史 >

前号ひとり旅220620で引用した「ショスターコービッチの証言」を追記します。本書は音楽家の生涯を口述筆記したものですが、およそ音楽とは関係のない以下の一文が挟まれています。四海にまもられ神道や仏教を信奉しつつ平和に暮らしてきたヤマトの民と、争いと争いの間に短い平和が挟まれる大陸の民とのちがいを際立たせる例にはなるかもしれません。

 

 

ショスターコービッチ CDの挿絵

 

「わが家では、1905年の革命のことが絶えず論議されていた。わたしが生まれたのは1906年で、あの革命のあとだったが、その話はわたしの想像力に深刻な影響を与えた。~中略~  おびただしい量の血が流されねばならなかった。1905年には、殺された子供たちがうずたかく橇に積まれて、運ばれた。少年たちが木に登り、兵士たちを眺めている。すると兵士はまるで面白半分のように少年たちに狙いを定めて射つ。つぎの瞬間、少年たちは橇に積まれ、運び去られる。少年たちの死体を積んだ橇。死んだ少年たちは笑いを浮かべている。不意に撃ち殺され、驚く暇さえなかった少年たち。一人の少年が銃剣でずたずたに引き裂かれた。少年が運び去られたとき、「武器を!」と群集は叫んだ。誰一人、武器の扱い方を知らなかったのに、ついに堪忍袋の緒が切れたのだ。ロシアの歴史の中では、多くのことが繰り返されているように思われる。もちろん、同じ事件が正確に二度繰り返されるわけではなく、相違もあるにちがいないが、それでも、多くのことがやはりくり返されている」

 

                                                                                 ソロモン・ヴォルフ編/水野忠夫

                                                                                   「ショスターコービッチの証言」

                                                                            中央公論社昭和55年(1980年)発行p20

 

ちなみに1905年は日露戦争の年であり、対馬沖の日本海海戦では、圧倒的優位と思われていたバルチック艦隊東郷平八郎ひきいる連合艦隊の前に完敗しました。東洋人が白人を打ち負かしたニュースは世界をめぐり、とりわけロシア周辺の被支配国の人々を勇気づけたことが容易に想像されます。陸戦を戦った乃木希典、後方攪乱のため諜報活動を展開した明石元二郎といった名とともに日露戦争ロシア革命に少なからぬ影響を与えました。

 

血の日曜日」を機に民衆が蜂起したロシア革命(1905~17年)の時代にショスターコービッチは幼少年期を送りました。音楽を、肉体をゆさぶる明るい音楽と、脳に浸透しものを考えさせる音楽に分ければ、ショスターコービッチの楽曲は明らかに後者です。真冬の深夜に耳を澄ませていると見たことのないシベリアの大地と人々の姿が思われます。みな薄い表情をしています。

ひとり旅 220616 ハノイのバイク事情(7 山崎圭次 本田宗一郎 細川護煕

 

 

 

山崎圭次氏  山崎技研ホームページより

 

「進め1億火の玉で」突進した日本国は、アジア太平洋戦争において官民合わせ300万柱の命を失いましたが、ひそかに理系の人材は温存していたようです。生き残りのエンジニアが我こそはと先陣を争い、戦後日本には自転車にエンジンを付けた「踏んだらモーター」(もうた⇒回った^^)が雨後の筍のように生まれました。その一人に1912(明治45年)高知市鴨辺部で生まれた山崎圭次氏がおり「この頃の特許庁の出願簿には、本田宗一郎と山崎圭次の名前が順番に連なる」そうです。

 

 

高知空港を飛び立つホンダジェット 2022.01.12

 

ハノイでHondaはバイクを意味します。Hondaの傑作スーパーカブはだいぶ前に世界生産1億台を超えました。1906年(明治39年)生まれの本田宗一郎が戦後のバイク界を席捲したことは誰でも知っていますが、故障したバイクをかき集めては弱点を補強し、どんな乗り方をしても壊れない二輪に仕立てた創業者の夢は、じつは空にありました。1972年「ホンダシビック」で二輪から四輪界に進出したホンダ社は、2017年「ホンダジェット」で空を飛び、2021年に次は「ロケット」をやると宣言しました。本田宗一郎と共に生きたぼくらの世代は、またたく間に二輪からロケットまでの大変化を経験したわけです。

 


「ブルーバード」山崎技研のホームページより

 

一方、創業時の山崎圭次社長はバイクに入れ込み、月産100台を数えたという「ブルーバード」を東南アジアへ輸出しています。現在の山崎技研は金属切削機「フライス盤」を主軸とする会社ですが、同時に「自分らで食べるものは自分らでつくろうや」という創業者の遺志をつぎ環境配慮のもと本業とはまるで違う養殖業に進出し、須崎市浦ノ内と大月町古満目の事業所で稚魚の養殖を行っています。

 

 

「ブルーバード」

 

本田宗一郎は生涯をかけて本業に取り組みましたが、山崎圭次は高知市中心部を流れる江ノ口川が、上流にあるパルプ工場の廃水によって汚染されたことに心を痛め、万策つきて、汚水の排水管を生コンクリートでふさぐという「生コン事件」を引き起こした張本人でもあります。れっきとした会社社長が、罪を犯して守った浦戸湾西岸は今日も緑滴る春です。

 

 

浦戸湾に浮かぶヒミツの小島にて  2022.05.22

 

拙宅から歩いて2分の

浦戸湾にゴムボートを浮かべ

誰もいない小島の神社にご挨拶して

物思いに耽っていると

湾を巡回する観光船がよぎりました

 

 

御畳瀬漁港から浦戸大橋を望む

「浦戸湾のんびりクルーズ船」 2021.05.02

 

そのむかし、元はといえば山崎圭次氏が立ち上げた「浦戸湾を守る会」から、会員の末席をけがすぼくにも呼び出しが掛かりました。出し合い話のなか「浦戸湾を守る」ためには広く広報することも大事⇒「遊覧船事業」を行ってはどうかと提案しました。みなさん浮かぬ顔をして聞き流しておられましたが、ひょっとあの提案がどこかで生きていたのなら嬉しいなと、目の前を行く遊覧船に手を振りながら1990年代にあれやこれやと環境保護運動に手をだしたことを思い出しました。日本経済の絶頂期はカネと引き換えに自然がどんどん崩された時代でもありました。

 

 

「ブルーバード」山崎技研のホームページより

 

幼少期の記憶にかすかに残るチャリバイク

こいつに跨がって桂浜の海岸を走ったら

みんなが振り返るでしょう

ハーレーダビッドソンが青ざめるかも

 

細川護煕元総理大臣が「日本新党」を立ち上げた1992年、入院中の山崎圭次氏を旗頭に「守る会」が新阪急ホテルに細川党首を迎えました。そこで初めて「犯罪者」山崎圭次氏と出会い、明治大正昭和平成を生きた古武士のようなお顔を目の当たりにしました。凛として迷いのない瞳に笑みを湛えた方でした。上記写真は氏に漂う雰囲気をよくあらわしています。

 

片や熊本県知事を退任後、日本新党を結成し、あっという間に総理大臣に登り詰めた細川護煕氏からは政治家のもつ独得の風圧を覚えました。(政治家を評するのは誤解のもとではありますが) 瞳の奥に信念を秘めた人物は、昭和平成までは生き延びたかも知れませんが、令和の今はほぼ失われたのではないでしょうか。自分の職業内ではまず遭遇することのないオーラを間近に感じ、会がはね、帰る道々わが身の卑小さを痛感したことです。ヒトはみな平等なのだけれど人生には大小あることを知りました。

2022.06.16 記 つづく

 

 

 

 

< 2022年の現在史 >

2月24日のウクライナ侵攻を機にルーブルの対ドル価値は急減しましたが、ふたたび値を戻し6月現在、大幅に上昇しています。理由は「石油」「中国」「インド」の三者に集約されそうです。EUの盟主ドイツの前首相メルケル旧東ドイツの出身であり、ロシア・中国と親和性が高いと言われました。気がつけばドイツは、石油・天然ガスの輸入でプーチン大統領に首根っこを押さえられ、後任のショルツ首相は声高にロシア制裁を主張しつつも思うにままならぬようです。一方で中国・インドはロシア産の石油を輸入し、どうやらインドは石油に魔法をかけてEU横流ししてさえいるらしく、ウロ戦争の本質は何がなんだか分からんぞと言うほど入り組んでいます。

 

ウクライナとロシアは穀物の大輸出国でもあります。そのウクライナの広々とした農地に砲弾が打ち込まれ、まだら模様にされた風景は、ひとりの農業者として耐えがたいものがあります。ウクライナは、海路も陸路も封鎖されたようだから、すでに貧しい国の穀物価格は高騰しており、やがて飢餓が世界を覆うだろうとの予測もあります。

 

以下ぼくの想像にすぎませんが、天然資源のみならず食糧が高騰することによってロシアは潤うことから、そこまで先読みしての「特別軍事作戦」であったならプーチンの勝ちとも言えます。加えてロシア・中国は肥料の大生産国でもあり、肥料がなければ食はまかなえないので「窒素リン酸カリ」は静かな兵器ともなります。とすればウロ戦争は⇒食糧安保⇒肥料確保の戦争でもあり、ぼくら農家は既に値上がりした肥料を横目に緊張しています。まあ日本の農水省がそこまで愚かであろうとは思いたくないのですが、、

ひとり旅 220612 ハノイのバイク事情(6  BMW 水平対抗エンジン 4時間耐久レース 井上尚弥

 

 

 

ハノイ 2019.10.24

 

何屋さんかは分かりませんが

店頭に置かれた古風なドイツ車で

水平対抗エンジンだからBMW

オフ用タイヤがワイルドです

 

 

速度計 2019.10.24

 

近づいて細部を点検すると

古いパーツに味があります

部品を寄せ合って形がつくられ

積もった時間に磨かれて

カッコよかったです

 

速度計には160㎞/hの表示があります。それほどのスピードは出ないないだろうし、出たとしても制御できるとは思われませんが、メーターの数字は高いほど格好がよいからでしょう。この旧式バイクだと100㎞/hも出せば快感が恐怖に変わるはず…

 

大きな声ではいえませんがぼくは400㏄のオンロードで130㎞/hを体験したことがあります。背中を曲げて重心を落とし、風圧を避けながら右手を強く握ると前方の道路幅が急激に狭まります。元投手イチローがライトで拾った球を三塁めがけて矢のように飛ばす「レーザービーム」は球速130㎞/hほどです。してみれば、ぼくはイチローの全力投球に乗ったことになりますが、小石を踏んだら一巻の終わりなのでバカな遊びはやめませう(--!

 

ちなみに

ボルト選手の最高速が45㎞/h

ケイリン選手は70㎞/h

大谷翔平と佐々木朗希のフォーシームが160㎞/h

このあたりが人力の限界です

 

若いころバイクで北海道を走ったとき鈴鹿の4時間耐久レースに出たというレーサーと出会いました。スズカはメーカー支援による宣伝のためのレースだと思っていましたが、彼は個人の情熱で企業メセナを集めたそうです。(どの会社にもカネがうなっていた1980年代の話です)

 

スズカの直線コースを最前列の席から見ると目の前を右から左へ黒い影がよぎります。コーナーをひらりひらりと舞ってきたバイクが、ここぞとばかりぶっ飛ばすので、レースをじっくり見たければ観客席の上段に移動した方がよいです。そのときの最高速は300㎞/hになるそうだから素人のバイク乗りとは異次元の世界です。

 

「コーナーに突っ込むときは?」「150㎞/hほどに落してバイクを傾ける」「曲がり切れなかったら?」「バイクと一緒に滑ってコース脇のクッションにぶつかる」「……w」「当たる寸前に尻をクッションに向けるのがコツだ」「……?」「浣腸されたような気がする」というから世の中には色々な趣味をもつヒトがいるものです。

 

 

ドラム式ブレーキ 2019.10.24

 

今はディスクブレーキが主流ですが、これはドラム式。ディスクのように効きすぎて前につんのめることはありません。いかにも手作り感ありありで、なんか嬉しいですね。Crossover a life and playを謳うぼくの愛バイクCross Cub110もドラム式です。

 

 

エンジン 2019.10.24

 

こちらにシリンダーがひとつ

あちらにもシリンダーがひとつ

あちらとこちらが行ったり来たりする

BMW特有のつくりです

 

水平対抗エンジンは平たいので、重心が下がる、震動が少ないという利点はありますが、横に出っ張るのが欠点です。このエンジンを搭載した二輪はBMWのみ、四輪だとスバルとポルシェがあります。かつて買い換えに迷ったとき車オタクがスバル車を勧めてくれました。オタク自慢のスバル⇒水平対抗車を借りて走ってみましたが、普通の道でカーブを曲がっても重心が低いことによるメリットは実感できませんね。スズカのカーブに突っ込んだら違いはあるのでしょうが、まあ素人には関係のないことです。BMWには乗ったことがないので何ともいえませんが、二輪だと体を沈めるだけで車体が安定するのでエンジンの位置が低ければそれなりの効果はあるでしょう。BMWには根強いファンがいます。

 

水平対抗エンジンのピストンは

ボクサーが繰り出すパンチに似ているので

「ボクサーエンジン」とも呼ばれます⇩

 

井上尚弥vsドネアの試合は凄かったです。ビデオの早送りみたいなフットワークとともにピストンパンチが、目の前から、あの速度で飛び出したら逃げようがないと思いますけど、それをひょいひょいとかわすドネアも大した選手なのでしょう。しかし第1ラウンドで一発くらいました。

 

試合の全容(みじかいです)

世紀の一戦を見逃した方はどうぞ

https://www.youtube.com/watch?v=E8urEs3_SYc

 

プロの解説(おもしろいです)

https://www.youtube.com/watch?v=yaGjeUcdASM

 

ついでに

ハーレーダビッドソンはV型ツイン方式、しかも

両者を微妙にズラすことによって特有の震動と爆音が生まれ

それが乗り手をヤクザっぽく悦ばせます

後部席でサングラスのお姉さんが、つんと澄まして

黒髪をなびかせたりすると完璧ですね

そんな人生が欲しい方は

今からでも遅くありません

がむばりませう

2022.06.12記 つづく

 

 

 

< 2022年の現在史 >

今日の日経新聞」2022.06.12によると「3団体統一世界バンタム級王者、井上尚弥が10日もっとも権威があるとされる米ボクシング専門誌“リング”が発表する全階級を通じた最強ランキングPFPパウンドフォーパウンドで1位に選出されたそうです。「PFPは階級の差がなかったものと仮定した場合、だれが一番すぐれたボクサーかを比較検討する考え方」であり「ヘビー級統一王者マイク・タイソン」も名を連ねているそうだからきっと凄いことなのでしょう。

 

むかしボクシングをやっている若い子と付き合ったことがあります。朝から机に臥せっているから「なんかあったのか?」って訊くと「リンゴ半分しか食べてない」と、試合前の減量中なのでした。リンゴ半分で殴り合いするのも可哀そうだなと思いながら練習場を覗きに行くとリング上の彼は別人でした。裸の井上尚弥選手は見事な筋肉の持ち主ですが、あの体は食事制限を乗り越えて作られたものでしょうね。ボクシングはリングの上でも下でも過酷な闘いが続くとんでもないスポーツです。

 

東京の某編集長から

「ブログが消えていますよ」とメールをもらいました

何かの拍子に触っちゃいけないボタンに触ったようです

ちょっと付け足して

再度アップします

 

ひとり旅 220608 ハノイのバイク事情(5 スズキ アミノ酸発見 生命のルーツ

 

 

 

 

 

ハノイ 2019.10.24

 

二輪を発明したのはドイツ人かと思っていたら

フランス人説もあります、しかし戦後

世界のバイク界を席捲したのは

ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの4社です

ピカピカのこいつは脇腹にスズキのマークがあります

乗っても磨いても嬉しいバイなのでしょう

 

 

ハノイ 2019.10.24

 

おっとこれがたまるか、カッコええと流し取りした写真は、たまたまですが構図どんぴしゃ、旧宗主国フランスを思わせる街並みによく似合うお洒落バイクでした。タイヤの泥よけを外したところがワイルドで、ぴかぴかに磨いた革靴の下で消音器がちょん切られています。切れたパイプの先からエンジンの燃焼音が丸ごと吐き出されるので日本ならたちまち「御用」ですが、ケチなことにはこだわらないのがハノイです。バイザーの下の黒眼鏡がキリッと締まり、昼間なのに点灯したライトの色合いもよく、パソコンの壁紙にして眺めているうちに映画「大脱走」のラストシーンを思い出しました。

2022.06.08記 つづく

 

 

 

< 2022年の現在史 >

日経新聞2022.06.07一面に「はやぶさ2 砂に生命の源」と見出しを置いて「小惑星りゅうぐうから地球に持ち帰った試料の砂から生命の源となるたんぱく質の材料のアミノ酸が見つかった」との記事がありました。「生命の活動にはたんぱく質や水が不可欠だが、その材料がどこでつくられたのかは、地球か宇宙かで学説が分かれて」おり、今次の発見で「地球外の天体にもアミノ酸が存在する可能性が濃厚になった」とのこと。これは生命科学の歴史をゆるがす大発見です。

 

宇宙関係者の最終目的は生命のルーツをさぐることにあります。火星探査機Perseveranceのミッションは「生命の痕跡」を探すことにあり、宇宙の歴史を138.2億年と算出したビッグバン仮説もまたヒトが住む太陽系のルーツを訪ねる学術の旅と言ってよいでしょう。鮭が川へ戻るようにヒトもまた故郷を恋しく思います。親のない子が成長し、ふと自分は何者かという想念にとらわれたとき、あらゆる手段を使って親を探すことでしょう。辛苦の果てに親と面会した子はいかなる表情を見せるのでしょうか。それは研究者が地球外のアミノ酸から生命を誕生させた瞬間に見せる顔かもしれません。

 

ソ連崩壊後のロシアでは宇宙技術の進化が停止したようです。のみならず宇宙船への往還機まで「特別軍事作戦」におけるNATOとの取引材料に使いそうなので、もしもそうなればロシアの名誉は地に墜ちます。中国は探査機を月の裏側へ降ろし、いま火星探査を始めてもいます。たまにそれらしい映像を配信していますが、あれって本当だろうか、失礼ながらCGではないかという疑念も拭いきれません。本当だとしても所詮はアメリカが開発した宇宙技術の写しであり、探査目的もまたアメリカ発の着想に由来します。真の目的が軍事⇒国威発揚にあることは疑う余地もありませんが......

 

プーチンは戦術核を使うのだろうか?  もしもエスカレートして戦略核を撃つことになったら人類の歴史は終わり、おれの人生も終わると普通に想像力のある人なら誰だって考えます。中国が保有する核爆弾は米ロに比べればわずかなものですが、そもそも歴史を終わらせるには800発ほどあれば充分だという説もあり、更には都市を狙わなくても成層圏で爆発させればEMP(電磁パルス)が地上の電子機器に潜り込み、広範囲に渡って文明は終わるというリアルな説もあります。武力の争いは崖っぷちに来ました。

 

そんなことより

軍事のステージから

文化のステージに移行してはどうか

と思うわけです

 

国を挙げて生命のルーツを探る

先行した国家は他国の賞賛を得る

そのことを国民が誇りに思う

後塵を拝した国は全力を挙げて新型ロケットの開発にいそしむ

 

という文化のリングが作られ

そこに人類の意志が統合されれば

井上尚弥のボクシングよりスリリングな闘いになるかも

 

JAXAは次なる目標として

火星の衛星フォボスからの

サンプルリターンを挙げました

アメリカ、中国は火星の土を持ち帰るそうです

 

そのノリで世界をあげて

宇宙オリンピックが展開されれば

FIFAワールドカップみたいに世界は熱狂します

核の火に焼かれて死ぬよりマシだと思いますけどね

 

 

 

ひとり旅 220605 ハノイのバイク事情(4 タイ ビルマ ラオス ウクライナの小麦

 

 

 

 

ハノイを行く「トクトク」 2019.10.24

 

人力タクシーが進化した三輪車「トクトク」は今もハノイの主役です。いわゆる東南アジアではどの国でも現役の「トクトク」は街風景に欠かせない乗り物です。2018年にタイはアユタヤで宿のご主人になぜ「トクトク」と呼ばれるのかと尋ねたところ、氏は口を尖らせ「ツクツクツクツク」というエンジン音に由来する名称なのだと教えてくれました。言われてみれば小型トラクターがタイヤを回すような音に聞こえなくもありません。静音をつきつめたレクサスには作れない音です。

 

 

タイ アユタヤの路上にて 2018.09.10

 

なぜ四輪でなく三輪かといえば、バイクをちょん切って荷台を付けたという説もありますが、路地裏を行くとき前輪はひとつの方が角を回りやすいという説もあります。四輪にバイク感覚の乗りやすさを求めたら三輪になったということでしょうか。タイ北部のビルマラオスの境では今も年代物のトクトクが大活躍しています。

 

 

タイ北部ビルマ(ミャンマー)との国境タチレクの入管 2018.09.15

 

朝はビルマからタイにむけて人が流れ

日が暮れると向きが変わります

検問を待つ右端トクトクの風防がユニークです^^

 

かつてタイ・ビルマラオスが国境を接する

三角地帯は麻薬のふるさとでもありました

ひょっとすると今も簡単な検問をすり抜け

ブツが行き来するのかも~~

 

麻薬のマの字を「魔」に置き換えるとヤバイことになりますが

麻酔薬がなければ手術はできないので阿片は人類に必須の医薬でもあります

オピウムの原料ケシが高知県牧野植物園でも栽培されていると

市民大学で聴いたときにはやや驚きましたが、むろん実験栽培です

三角地帯には阿片の使い方を間違うと大変なことになるよと

様々なデザインの煙管を並べ、恐ろしげな写真を添えて

釘を刺す麻薬博物館もありました

 

 

タイ北部タチレク 2018.09.15

 

これもトクトクかなと思っていたら

サイドカーならぬサイド屋台なのでした

 

 

タチレク 2018.09.15

 

サイドを外せば

お店になります

 

屋台の料理を眺めていると

毎日が縁日みたいなもので

生きることの楽しさ感じます

むしろ病院のように清潔な日本のスーパーが

異常な風景に見えますね

 

 

ラオス ビエンチャンにて 2018.09.20

ピッカピカに磨かれたトクトク

 

 

ラオス ルアンプルバンにて 2018.09.20

 

支配と被支配の歴史はさておき、ラオスの古都ルアンプルバンは旧宗主国フランスの人々がこよなく愛した街でもあります。街なかには至る所にフランス風の建物が並び、ラオス名物カオチー(フランスパンサンドイッチ)は小麦と野菜がつくる西洋の味です。▼小麦のふるさとウクライナは、黒海を封鎖され、いま大量の小麦が輸出できぬまま滞っており、ウロ戦争の行方によっては世界に飢餓をもたらすだろうと言われます。日本のスーパーでも、ひそかに値上げが進行しており、パンやうどんも庶民価格では買えなくなるかもしれません。

 

 

< 2022年の現在史 >

ロシアとウクライナは民族・文化において不可分の存在だそうです。侵攻当初、在日ウクライナ人が「いわば東京人が京都を攻めたようなもの」だと言っていました。世の中には正邪の境がきっぱり分かれることはないので、ロシアにも言い分はあるはずだとぼくなりに探りましたが、ウクライナ東部の親ロ派がウクライナ人によって迫害されているという事実はあったにせよ、何をどう考えてもプーチンのロシアに正義は見当たりません。

 

いま日本では、正義の味方ウクライナが邪悪なロシアに攻撃されて可哀相だという図式でニュースが作られており、ネットは判官贔屓の書き込みで一杯です。それはそうではあるのだけれど、戦争は政治の結果であり、末端の兵士がつくるものではありません。プーチンvsゼレンスキーの争いに巻き込まれ、何も知らずに戦場へ連れて行かれたロシアの若い兵士は今いったい何を考えているのでしょう。

 

どうやって入手したのか知りませんがネットには、ロシアの戦車をドローンがミサイル攻撃するビデオが山ほど置かれています。戦車に積まれた砲弾が誘爆し、鉄の砲塔が空中に吹っ飛ぶ映像には、テレビゲームにはない迫真力があります。にもかかわらずさっきまで生きていた戦車兵3人がどうなったかを示す絵はまったく見当たりません。「政治の戦争」と「兵士の戦争」は分けて考えるべきではないかと思うのです。

2022.06.04 つづく

 

 

 

 

220531 ひとり旅 220531 ハノイのバイク事情(3 自転車タクシー BBC ウイグル

 

 

 

 

 

ハノイ市街の鉄路 2019.10.24

 

廃線ではなく

ばりばり現役の鉄路です

列車が通らないときはバイクが走ります

 

 

鉄路と交差点 2019.10.24

 

歩くような速度で列車が顔を見せると

交差点に観光客が群がり

鉄路脇のヒトは壁に張りつきます

 

学生のころ東京豊島区で安下宿を借りていました。電車道がすぐ傍で、昼間は気づかないのですが、夜になると微かな震動をともなって鉄路がガタンゴトンと響きます。うるさくて眠れないということは全くなくて、むしろ車輪と鉄路が遠慮がちに奏でる音楽なのでした。

 

1980年代にChina南部の雲南省昆明のホテルで夜が更け、眠れぬままうとうとしていると、荷車を曳く馬の蹄の音が聴こえました。生きものがつくる規則正しい響きは、耳にやさしい子守唄です。馬ってこういう足どりで歩くのだと、記憶の引き出しを開けたような気がしたものです。

 

その昆明市をGoogle mapで広げたところ、わずかな年月の間に変われば変わるもの、かつての田舎町に20階ほどの高層ビルが林立しています。もしも武漢肺炎がなく、2012年の反日大暴動がなく、目つきの悪いスポークスマンが命令口調で威嚇することもなければ、40年前の記憶を提げてChinaの地方をまわりたいものですが、あの国の深部にひそむところの見てはならないものを見せられた今、多くの旅行者と同じくぼくもまた地図を広げてためらいます。摩天楼が林立する超近代都市上海はChineseの誇りだそうですが、ヒネた目で見れば、世界のどこにでもある都市風景を置き換えただけのようにも見えます。かつての面影を引きずる者にとって、旅先での発見と落胆のどちらが重いか、なんとなく予想がつきます。

 

 

ハノイ自転車タクシー 

後ろのおっさんが人力エンジン 2019.10.24

 

かつてマレーシアで、人が人を乗せて汗をかく「自転車タクシー」は人道にもとるのではないかという議論がありました。結果として自転車タクシーが禁止されたかどうか、記憶に定かではありませんが、オランダ、イギリスの植民地支配を受けた国にあって「人は人の上に」ヒトをつくりヒトの下にもヒトつくるのは当たり前のことなのでしょう。それは西欧がインドシナ半島に残した階級思想かもしれず、もともと現地にあった差別思想なのかも知れません。いずれにせよ文化的に低いレベルの考え方なので、ぼくには興味がわきません。

 

 

ハノイ自転車タクシー  2019.10.24

 

むかし友人と連れ立ってインドを旅したとき「自転車タクシー」のおっさんがしつこく迫るものだから負けて乗りました。上の写真は、荷台が前方に置かれ、恋人の前には街風景が広がるばかりですが、ぼくたちが乗った自転車タクシーは、前に自転車、後ろに荷車だったので左右に揺れるおっさんの尻が気にかかって「なんか申しわけないな~」と観光気分になれなかったです。むこうは仕事を求め、こちらはカネを払うのだから悪いことをしているわけではありませんが、人と人の間にはカネ以外のやりとりもあることを知りました。

 

カルカッタでは「大八車タクシー」に乗りました。この道何年のモサかは知りませんが、日に焼かれ、鍛えられた筋肉の持ち主はかなり老齢のように見えました。「トシなんぼ?」と訊いたら40代のわれわれと同い年だったから思わず友人と目が合いました。

 

 

ハノイ市 倉庫の壁絵に観光人力車?  2019.10.25

 

観光人力車は京都にも大分県湯布院にもあります。むかしは高知城界隈にもありました。同じ人力車でも、カネを払った客が、引手を下に見てエラソーな顔をするのではなく、アルバイトの学生が引っ張り、観光客がお遊びで乗ってみたというていどの話なので両者は水平の関係にあります。立場が逆になっても、それは遊びだから何ということもないわけです。しかし複雑な歴史をもち、階級化された国にあっては、日本のそれとは似て非なるものがあるのだろうなと思いました。

 

 

街なか美術館? 2019.10.25

 

右端に自転車タクシーが描かれています

油絵風の筆遣いは旧宗主国フランスの置き土産でしょうか

道端の物入れに、このレベルの絵を描いて

とりたてて威張る風もありません

遊び心と文化力を感じます

 

会社も役所もすべての組織が軍隊式の序列をもちます。が、職場は一種の芝居小屋であり、芝居がハネたら人は人、日本社会にあっては「天は人の上に人をつくらず」ヒトの下にもヒトをつくらないのがルールです。そもそも組織上位にいる人間が、人格上位であるとはかぎりません。海という防塁に囲まれ、長い安定の中で歴史を育んだ日本国と圧政に苦しんだ諸外国では「自転車タクシー」ひとつ取っても背景がちがうのだろうなと思いました。

2022.05.31記 つづく

 

 

 

< 2022年の現在史 >

2022.05.25「中国・新疆ウイグル自治区における、ウイグル族など少数民族に対する中国当局の対応に関して、大量の文書や写真が」BBCから発せられました。世界を駆けたBBCのニュースはNHKの定時ニュースでも扱われましたが、悲しむべきはウイグルの当たり障りのない風景が映され、BBCをオリジナルとする間接取材が淡々と述べられただけでした。そのむかし喜多郎シンセサイザーに乗せてタクラマカン砂漠をロマンチックに描いたNHKにしてみれば、いろいろあったにちがいなく、刺激的な映像はつくりたくないのでしょう。税金なみに視聴料を召し上げる組織が、こんなニュースでお茶を濁してよいのでしょうか(~~!

 

2022.05.25 BBCニュース

https://www.bbc.com/japanese/video-61574856

 

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