ひとり旅 230218 日本所々(21) 承久の乱M 隠れキリシタン 天草四郎  JAXA

 

 

熊本県天草市 崎津集落ガイダンスセンターの展示  2020.08.31

 

尾形光琳の錦絵を思わせる構図の中に

南蛮人を配したエキゾチックな図です

 

 

同ガイダンスセンター  2020.08.31

 

風を孕んだ帆のピラミッドが木造船に力を与えて波を蹴り

荒海に乗り出した男たちは命がけで自然に対抗しました

それ自体はスリル満点の冒険たんではありますが…

 

 

同ガイダンスセンター  2020.08.31

 

織田信長豊臣秀吉徳川家康とづづく16世紀の日本に地球の裏側からやって来たスペインやポルトガルの船乗りは、このような地図をもって大海原を航海し「ジパング」を目指したことになります。

 

九州は立派に描かれていますが、われらのTonsa土佐がちぢこまっているのはSando佐渡やVuoqui隠岐のような流刑地だったからかも...九州の向こうにカムチャッカ半島のごとく垂れ下がっているのはCorea朝鮮半島。その西にはNanqvin南京が見えます。

 

九州を平定し朝鮮半島経由で北京を目指した豊臣秀吉の頭には、このような世界図が置かれ、狭い海を挟んで列島半島大陸がだらだらとつながっていたのかもしれません。それは逆も同じ、ヒデヨシの「文禄・慶長の役」から300年ほど前の「文永・弘安の役」には大陸を南下したモンゴル兵が手下の朝鮮兵を伴い対馬経由で九州に攻め込んだわけです。獲ったり獲られたりは世の常、悲しいことに21世紀の今も似たような状況にあります。

 

図を見ると青森は津軽海峡で首が切れ北海道がありません。当時の蝦夷地は未開拓の原野であり、北海道をロシア側から見ると本州と樺太(サハリン)に挟まれたグレーゾーンになります。だから「一部の専門家によると」と前提しながらも「ロシアは北海道にすべての権限を有している」と発言した公正ロシア政党党首セルゲイ・ミロノフの発言も一理はあるのかなという気がせぬでもありません。ふざけんなってことですけども…

 

 

中国ロシア軍艦の航路図

 

2021.10.24 中ロの軍艦が津軽海峡から大隅海峡を抜け、翌

2022.02.24 ウロ戦争(特別軍事作戦)が勃発しました

 

明治政府が北海道に東北農民を入植させたのは(ひょっとすると)ロシアを意識した領土確定のためであったのかもしれません。しかし、そこに日本人が居るから北海道は日本のものだと日本人が勝手なことを言うのであれば⇒ウクライナ東部にはロシア人居住地があり⇒台湾には大陸に郷愁をもつ中国人が住む。したがって本国は同胞保護のため武力を使わざるを得ないというロジックもまあないわけではないでしょう。

 

自己都合にあわせて有利なロジックを編み出すのが歴史の習いです⇒オレらが最初に上陸して旗を立てた。歴史の一時期わが民族が暮らしていた。それは約束の地だ、等々理由は何でもアリです。

 

もしも16世紀の大航海時代ジパングが占領されていたら今のぼくらは何語を話し、どこにidentityを求めたかと考えるとき愉快な想像は湧いて来ませんが、さいわい当時は内戦で鍛えられた戦闘集団が中央集権国家を形成していたので地球の裏側から帆船に乗ってきた兵隊ごときにやられることはなかったわけです。

 

 

熊本県天草の天草四郎時貞像 2023.08.31

 

天草四郎は「幕府軍に抗戦し島原の原城にて籠城90日にして敗死」とあります。16歳にして首領に擁立され17歳で戦死したわけですが、いくら早熟でも高校1年生が37,000人の叛乱軍を指揮したわけはありません。天草四郎は「キリシタン大名小西行長の家臣の子孫であった」ことがキリシタン禁圧に対抗する象徴とされたようです。

 

天草四郎ひきいるカトリック一揆軍は「老人や女子供に至るまで一人残らず皆殺し」にされましたが「童女の輩に至りては、喜びて斬罪を蒙りて死なんとす、是れ平生人心の致すところに非ず、彼宗門に浸々のゆえ也」(島原天草日記)とあります。強い宗教的信念をもつ信徒は幼子さえ「喜びて」殉死したのでしょうか。

 

宗教人が宗教世界で生存をまっとうするのであれば何の問題もありませんが、宗教を介して外国の価値を吹き込まれ、みずからが拠って立つ日本を否定したとすれば話は別です。「島原・天草地方には多くのキリスト教徒がいたが、領主は徹底した禁教政策をとり、年貢の取り立てをきびしくした*」ことが「島原の乱」につながりました。徳川幕府は外国勢力による宗教という名の心理操作に警戒心を抱き、武力で外部価値を排除したわけでもあります。(*もういちど読む山川の日本史)

 

ちなみにキリスト教にはカトリックプロテスタントの2種類ありますが、教義そのものの違いは素人にはなかなか分からないそうです。スペイン・ポルトガルカトリックであったのに対しオランダはプロテスタントでした。プロテスタントのオランダは貿易に関心があり、布教には興味をもたなかったことから鎖国した江戸期の外国は朝鮮、琉球、中国、オランダに限定されたことになります。鎖国時代とはいえ家康はしっかり稼ぎ、かつ海外情報を仕入れてもいます。

 

かくてキリシタン

違う思想を装って生きるか

官憲の届かぬ地でひそかに暮らすことになります。

 

 

尾去沢鉱山坑道内の展示  2013.05.26

 

むかし学校で「隠れキリシタン」と習いましたが

信者は信念にもとづく生き方をしたのであり

悪いことをしたわけではないから

近ごろは「潜伏キリシタン」と呼ぶようです。

 

「隠れ切支丹」が秋田の鉱山に「潜伏」していたとは知りませんでした。案内板には「鉱山に認められていた治外法権的慣習が宗徒の潜伏に適していた」とあり、地下の過酷な労働の場は、過去は問わぬ、働きたければ来なさいという権力の空白地帯でもあったようです。▼佐渡金山では無宿人(浪人ないし博徒的存在)も貴重な労働力であったらしくお墓も残されています。地下都市には地上のしがらみから開放されたある種の自由があったのでしょう。

2023.02.18記 つづく

 

 

 

 

< 2023年の現在史 >

2月17日午前11時、H3ロケット「失敗」と報じられました

すわ空中爆発かと思いましたがエンジンに「点火」しなかっただけであり

3月中に再度「打ち上げる」そうなのでホッとしました

昨年来JAXAはヘマつづきですが、どうか

頑張ってもらいたいところです

 

 

JAXA宇宙科学資料館近くにて   2022.09.14

 

昭和45年2月11日に打ち上げられた

日本発の人工衛星おおすみ」の模型

左に立つのは糸川英夫博士

 

人生で最も大切なものは

逆境とよき友である

 

と碑文にあります

 

 

イプシロンロケット打ち上げ場  2022.09.14

 

 

広場に置かれた初代「はやぶさ」の模型     2022.09.14

 

4基のイオンエンジン

故障つづきではらはらさせてくれましたが

なんとかオーストラリアの砂漠までたどり着きました

 

その翌年でしたか高知工科大学

イオンエンジンの開発者・國中均博士の講演を聴きました

「これでぼくたちも国際学会で発言権を得ました」

と淡々とつぶやいた言葉にしびれました

カッコ良かったです