ひとり旅 231104 特攻(3) ヒロシマ1  丹下健三 ル・コルビジェ

 

 

 

 

 

呉港から広島港へ  2023.10.02

 

残り少ない休養期を惜しみつつ

原付110㏄をフエリーに乗せました

秋は水平線と天の高さが格別で

小さな旅でも海を渡ると心が華やぎます

 

 

広島平和記念資料館  2023.10.02

 

久しぶりに見た資料館は

左右に通路が併設され

どこか昔と様子が違いました

 

 

設立当初の平和記念資料館  2023.10.02

 

丹下健三が設計し

戦後7年目1952年に竣工した

平和記念資料館の写真です

 

コンテナをつないだような建築を柱で浮かすと

貨物列車が空を漂っているようにも見えます

不要な装飾を極限まで剥ぎ取ったモダニズム空間です

 

コンクリート空間にピロティーを持ち込んだのは

サポア邸を設計したル・コルビジェかもしれませんが

高床式の住居はラオスにもインドネシアにもあるし

東大寺正倉院の床下もピロティーと呼べそうなので

丹下健三が誰かの真似をしたというわけではありません

誰が先にやったかを探るより

その作品が良いかどうかを問う方が有益です

 

あたうかぎり無駄な装飾を省いた空間は

とりたてて自己主張することもなく

むしろ人々の思念を誘い込むような気がします

 

 

ピロティーに集合した小学生  2023.10.02

 

床が天井になると

雨の日には屋根になり

夏は日陰をつくります

 

“これから入る展示室には

恐ろしい絵や写真があるので

見たくない人は無理しなくていいよ”

と先生が注意していました

 

 

ピロティーの柱  2023.10.02

 

単純に見えてもコンクリート打ち放しの列柱には

さりげなく曲線が置かれたり直線の窪みがあったりします

これが真ん丸の円柱や四角四面の柱だと野暮ったいですね

 

モダニズムを機能主義と捉えると

安くて便利であればよしって感じになりますが

それなら丹下健三でなくてもできるので、ひょっと

探せば黄金比や何やが隠れていたりするのかも?

 

それにしてもピカピカのコンクリート肌です

竣工以来せっせと磨いてきたのかなとも思いましたが

21世紀に入って化粧直ししたようです

展示物もリニューアルされていました

 

 

原爆死没者慰霊碑 2023.10.02

 

碑の中央部には

安らかに眠ってください

過ちは繰り返しませぬから

と加害者と被害者の関係性を無化した

不思議な文言が記されています

 

四角い資料館とは打って変わって曲線が使われ

その向こうには頭上からの爆圧に耐えた

原爆ドームの丸い鉄骨が見え隠れします

 

埴輪をイメージしたという石の屋根には

設計者による細かな指示があったはず

石工は持てる技術の粋を尽くして設計者に応えたことでしょう

この御影石丹下健三の故郷香川県の庵治石かもしれません

 

 

東京都代々木競技場  ネットより

 

同じく丹下健三の代表作である東京都代々木競技場は、二本の支柱がつくる吊り橋の曲線を複雑にまわし、どこかサザエの貝殻を連想させて愉快です。資料館、慰霊碑、競技場の三者に共通した原理は、直線であれ曲線であれ、空間を極限まで単純化するとこうなるというモダニズムの実例と言えるのではないでしょうか。

2023.11.04記 つづく

 

 

 

 

補記

高知市はりまや橋にある土産物屋はル・コルビジェ

「ロンシャンの礼拝堂」をイメージしたものだと

工業高校建築科の先生が教えてくれました

う~んロンシャンか…

 

 

はりまや橋の交差点にて  2023.11.04

 

 

本物のロンシャンの礼拝堂  ネットより

 

 

上野公園の国立西洋美術館  ネットより

 

世界遺産に認定された

ル・コルビジェの設計ですが

ピロティーがなければ只の箱ですね

 

 

ル・コルビジェの別荘⇒終の住処  ネットより

 

世界の名建築を訪ねる旅ができるなら

どうしても見たいのがこれ

巨匠が建てた小さな別荘(小屋)は

今となっては建築家の聖地らしく

これも世界遺産に認定されています

 

思いますに公共建築には

大きさと美しさが求められますが

個人の居宅は狭くても問題なく

“起きて半畳、寝て一畳”

目をつむれば同じことです

 

 

ル・コルビジェの終の住処  ネットより

 

小屋の窓には地中海が広がります

巨匠は海水浴をたのしんでいるとき

心臓発作で逝去したとか

享年77歳でした