220531 ひとり旅 220531 ハノイのバイク事情(3 自転車タクシー BBC ウイグル
ハノイ市街の鉄路 2019.10.24
廃線ではなく
ばりばり現役の鉄路です
列車が通らないときはバイクが走ります
鉄路と交差点 2019.10.24
歩くような速度で列車が顔を見せると
交差点に観光客が群がり
鉄路脇のヒトは壁に張りつきます
学生のころ東京豊島区で安下宿を借りていました。電車道がすぐ傍で、昼間は気づかないのですが、夜になると微かな震動をともなって鉄路がガタンゴトンと響きます。うるさくて眠れないということは全くなくて、むしろ車輪と鉄路が遠慮がちに奏でる音楽なのでした。
1980年代にChina南部の雲南省昆明のホテルで夜が更け、眠れぬままうとうとしていると、荷車を曳く馬の蹄の音が聴こえました。生きものがつくる規則正しい響きは、耳にやさしい子守唄です。馬ってこういう足どりで歩くのだと、記憶の引き出しを開けたような気がしたものです。
その昆明市をGoogle mapで広げたところ、わずかな年月の間に変われば変わるもの、かつての田舎町に20階ほどの高層ビルが林立しています。もしも武漢肺炎がなく、2012年の反日大暴動がなく、目つきの悪いスポークスマンが命令口調で威嚇することもなければ、40年前の記憶を提げてChinaの地方をまわりたいものですが、あの国の深部にひそむところの見てはならないものを見せられた今、多くの旅行者と同じくぼくもまた地図を広げてためらいます。摩天楼が林立する超近代都市上海はChineseの誇りだそうですが、ヒネた目で見れば、世界のどこにでもある都市風景を置き換えただけのようにも見えます。かつての面影を引きずる者にとって、旅先での発見と落胆のどちらが重いか、なんとなく予想がつきます。
後ろのおっさんが人力エンジン 2019.10.24
かつてマレーシアで、人が人を乗せて汗をかく「自転車タクシー」は人道にもとるのではないかという議論がありました。結果として自転車タクシーが禁止されたかどうか、記憶に定かではありませんが、オランダ、イギリスの植民地支配を受けた国にあって「人は人の上に」ヒトをつくりヒトの下にもヒトつくるのは当たり前のことなのでしょう。それは西欧がインドシナ半島に残した階級思想かもしれず、もともと現地にあった差別思想なのかも知れません。いずれにせよ文化的に低いレベルの考え方なので、ぼくには興味がわきません。
むかし友人と連れ立ってインドを旅したとき「自転車タクシー」のおっさんがしつこく迫るものだから負けて乗りました。上の写真は、荷台が前方に置かれ、恋人の前には街風景が広がるばかりですが、ぼくたちが乗った自転車タクシーは、前に自転車、後ろに荷車だったので左右に揺れるおっさんの尻が気にかかって「なんか申しわけないな~」と観光気分になれなかったです。むこうは仕事を求め、こちらはカネを払うのだから悪いことをしているわけではありませんが、人と人の間にはカネ以外のやりとりもあることを知りました。
カルカッタでは「大八車タクシー」に乗りました。この道何年のモサかは知りませんが、日に焼かれ、鍛えられた筋肉の持ち主はかなり老齢のように見えました。「トシなんぼ?」と訊いたら40代のわれわれと同い年だったから思わず友人と目が合いました。
ハノイ市 倉庫の壁絵に観光人力車? 2019.10.25
観光人力車は京都にも大分県湯布院にもあります。むかしは高知城界隈にもありました。同じ人力車でも、カネを払った客が、引手を下に見てエラソーな顔をするのではなく、アルバイトの学生が引っ張り、観光客がお遊びで乗ってみたというていどの話なので両者は水平の関係にあります。立場が逆になっても、それは遊びだから何ということもないわけです。しかし複雑な歴史をもち、階級化された国にあっては、日本のそれとは似て非なるものがあるのだろうなと思いました。
街なか美術館? 2019.10.25
右端に自転車タクシーが描かれています
油絵風の筆遣いは旧宗主国フランスの置き土産でしょうか
道端の物入れに、このレベルの絵を描いて
とりたてて威張る風もありません
遊び心と文化力を感じます
会社も役所もすべての組織が軍隊式の序列をもちます。が、職場は一種の芝居小屋であり、芝居がハネたら人は人、日本社会にあっては「天は人の上に人をつくらず」ヒトの下にもヒトをつくらないのがルールです。そもそも組織上位にいる人間が、人格上位であるとはかぎりません。海という防塁に囲まれ、長い安定の中で歴史を育んだ日本国と圧政に苦しんだ諸外国では「自転車タクシー」ひとつ取っても背景がちがうのだろうなと思いました。
2022.05.31記 つづく
< 2022年の現在史 >
2022.05.25「中国・新疆ウイグル自治区における、ウイグル族など少数民族に対する中国当局の対応に関して、大量の文書や写真が」BBCから発せられました。世界を駆けたBBCのニュースはNHKの定時ニュースでも扱われましたが、悲しむべきはウイグルの当たり障りのない風景が映され、BBCをオリジナルとする間接取材が淡々と述べられただけでした。そのむかし喜多郎のシンセサイザーに乗せてタクラマカン砂漠をロマンチックに描いたNHKにしてみれば、いろいろあったにちがいなく、刺激的な映像はつくりたくないのでしょう。税金なみに視聴料を召し上げる組織が、こんなニュースでお茶を濁してよいのでしょうか(~~!
2022.05.25 BBCニュース
https://www.bbc.com/japanese/video-61574856
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