ひとり旅 230905 日本所々(25) 周防大島から上関町へ

 

 

 

周防大島沖の遊魚船   2023.08.27

 

潮吹くクジラが泳ぎよる ♪

われらの土佐湾には

目の前180度の視界が広がります

広いといえば広いのですが

海の広さを実感させるのは瀬戸内のように

水平線上の島々があってこそかもしれません

 

松山港から伊保田港に向けてフェリーに乗りました

晴れた日の瀬戸内では海の上に山のてっぺんが見え

美人の島々が迎えてくれます

 

 

周防大島観光地図  2023.08.27

 

大島北部には規格通りの国道が走り

おのずと風景も規格化されました

交通量が少ないと車は飛ばし

バイク乗りは右ハンドルすれすれに現れる

追い越しの車に引っかけられないよう

絶え間なくバックミラーを覗かねばなりません

 

国道が抜けて便利になったね…車乗り

旧道がマシ危なくってしゃあない…バイク乗り

 

 

橋の向こうは沖家室島  2023.08.28

 

バイク乗りには南海岸の旧道がお勧めです

瀬戸内特有の柔らかい風景がつづき

滅多に対向車と出会うこともなく

とことこ走っていると細道の真ん中で

イノシシが遊んでいたりします^^

 

 

あわてて森に駆け込むイノシシ  2023.08.28

 

こいつは中学生くらいでしたけど

五島列島の森では目前をデカ親がよぎりました

バイクの音に気付いて後ろ足のギヤを入れたと見え

あの巨体を茂みに運んだ瞬発力はすごく

おれのバイクは100㎏ちょいだけど

ぶつかったらヤバいなと…

 

 

大島南海岸の渚  2023.08.28

 

ふと見下ろした渚に漂着物がないことに気付きました

周防大島柳井市、上関町と意識して海岸線を覗きましたが

風と海流によってはゴミの吹き溜まりと化す渚が

なぜか瀬戸内には少ないように思うのです

 

 

対馬西部ゴミだらけの海岸  2023.10.01

 

対馬西部の海岸には

漁具やペットボトルなど

無数の漂流物が流れつき

日本語、韓国語、(台湾の)繁体字

激しく国際交流しています

 

渚を散策してキモをつぶした晩、宿のご主人に

「みんなで一斉清掃できないものでしょうか?」と尋ねたところ

「やってはいますが、とても追いつかないのです」と諦め顔でした

 

 

大島北部の海水浴場  2023.08.27

 

黒潮洗う太平洋岸の住人ぼくは

狭い海域に封じられた瀬戸内海は、きっと

透明度も低いだろうとナメていたのですが

どっこい大島中央部は沖縄の渚を思わせるほど

夏休みの海水浴場は親子連れで賑わっていました

 

ゴミは捨てるな

持ち帰れとの看板も見ましたが

見方を変えれば瀬戸内の島々は

わずかなゴミさえ気にかかるほど美しいとも言えます

 

21世紀の今、人類が創出した人工物は、動植物が生み出したモノの総量を超えたそうです。生物由来のモノはやがて土に分解されCO2と化して循環しますが、人間がつくった無機的合成物は今後の百年、千年、万年どうなるのでしょう。考古学者は縄文期の土をやさしく払い、人骨でも出土した日には狂喜乱舞しますが、今世紀を終えた百年、千年後の人類がうかつに土を掘り起こすと放射能にやられるかもしれません。

 

天然ウランを人工的に変容させると「核のゴミ」がつくられます。が、核のゴミも渚のゴミも同じ「ゴミ」という言葉で括ってよいものかどうか…言葉の魔法にやられて目をつむると現実を見失います。渚のゴミはまあゴミなわけですけど核のゴミは無害化し得ない放射性物質なわけです。

 

そのどうしようもない放射性物質をどうするかが問われ、北海道泊原発の南北にある神恵内村寿都町では、高レベル放射性廃棄物の地下埋設案に伴う文献調査が始まりました。両町村につづき山口県上関町は「中間貯蔵地」として調査受け入れを許可しました。

 

視座を狭くし原発反対を唱えることは簡単ですが、既に膨大な電力を消費し、手に負えないほどの放射性物質を蓄えた21世紀の今、ぼくらは核をどう捉えるべきだろう。まともな反論を唱えるためには対案が要るけれど万人を説得できる良案があるのだろうかと、ぼくなりに悩みながらの上関行でした。

2023.09.05記 つづく