ひとり旅 221116  日本所々(4 奥入瀬川 十和田湖 乙女像 飼い猫

 

 

 

奥入瀬川沿の道路  2013.05.25

 

奥入瀬渓流の緑のトンネルを抜けると

源流の十和田湖に着きます

 

 

十和田湖畔の神社参道  2013.05.25

 

秋田スギ青森ヒバ木曾ヒノキは

日本三大美林と呼ばれ ます

ここ秋田と青森の境では立派なスギが

神社の参道をつくっていました

 

見上げると首が痛くなるほどの高みに

葉っぱの屋根を葺いた天然のお屋敷なので

雨が降っても風が吹いても根元は穏やかなものです

 

奈良京都の寺院を支える檜の列柱は

優に欧州の石像建築と対抗できます

あの柱も元はといえば森の大黒柱だったのですね

 

 

十和田湖畔の乙女の像  2013.05.15

 

かの有名な像をめがけて若い女性の一団が

黄色い声をあげながらやって来ました

ところが像は彼女らの予想とちがっていたらしく

「なにこれ、おばさんじゃん」と

乙女像を見上げて頓狂な声をあげました

「おばさんでわるいか」と

高村光太郎が草葉の陰でつぶやいた

かどうかは知りません

 

ネットによるとモデルは光太郎の妻智恵子であり

完成は昭和28年光太郎70歳時なので

駆け込み女性の感想は当たっているのかも

 

                                     

乙女像  2013.05.25

 

なぜ二人の「おばさん」が対面しているかといえば

これは裸の女性が姿見に掌を当てた図なのですね

湖面に映る倒立像からイメージしたかと思われます

 

 

鳥がつくる倒立像  2013.05.25

 

 

遊覧船がつくる倒立像  2013.05.25

 

なんせ湖面が鏡なので

一羽の鳥が二羽となり

5隻の船が10隻になります

 

それにしても、です

あたまがヘンタイのおじさんが

ちょっと変なことをしただけで逮捕される今

乙女の裸像は猥褻物陳列罪に問われないのかと

ついいらん心配をしてしまうのです

 

高知市中の公園には「服を脱ぐ」というテーマで

女性の裸像が置かれていますが、なぜ公共の場で

服を脱がねばならないのかについての説明はありません

 

高知市中央公園には「龍馬」「お龍」と題し

とても許せない男女の部分を抽象化したオブジェがあります

作家の速水史郎氏は黒御影石をピカピカに磨いたデザインが得意で

東京都庁に置かれた作品にはウ~ンとうなって足を止めたことですが

いかにデフォルメしたとはいえ中央公園のモノはやりすぎ

ぼくなど歩くたびに品のねえものこさえやがって

高知をなめとんのかと怒りを覚えます

にもかかわらず市民ないし役所から声があがらないのは

高名な作家の作品でござるぞという魔法にかけられ

理性を失ったからでしょう

こんなものに税金使うなよと…

2022.11.16記 つづく

 

 

 

< 2022年の現在史 >

私的な話で恐縮ですが

さきほど飼い猫が息を止めました

一月ほど前から極端に食が細くなり

一週間ほど前からは水だけ舐めて

深夜の仕事帰りを待ってくれました

急速に痩せ細り抱いても重さを感じないほどで

昨夜はいよいよと思っていました

 

猫の16才は相当な年齢らしく

天寿を全うした幸福な生ではありましたが

別れは涙をさそいます

 

今秋伊勢神宮へ参拝したところ

ペットは家族だから同行可の案内板がありました

 

武器を突きつけ

憎しみの応酬をする戦場の兵士も

心が通う犬や猫は仲間と同じ存在のようです

つまるところ愛とは心のつながりなのだと知りました

 

 

ひとり旅 221111 日本所々(3 奥入瀬川 蔦川 クサソテツ 八甲田山 明石海峡大橋  縄文土器

 

 

 

 

 

 

 

青森県奥入瀬渓流の春  2013.05.15

 

何も知らずに迷い込んだ

春の道がえらく綺麗でした

森を傷めないていどに舗装された道路を

遠慮がちに車が行き交い

 

 

奥入瀬渓流の散策道  2013.05.15

 

川沿いにはプロムナードが置かれ

渓流がつくる緑のトンネルを

ゆったりとした足どりの

ふたり連れが散策していました

 

 

奥入瀬川蔦川の渓流 2013.05.15

 

なんということのない奥山の流れですが

川には人工の仕掛けがあります

 

 

奥入瀬川蔦川の落差工  2013.05.15

 

川沿いの案内板に「蔦川は氾濫を繰り返す暴れ川であった。青森県砂防ダムや床固工、帯工等を整備し、周辺の自然に溶け込むよう護岸構造も川床の石を利用するとともに積み方も自然に馴染んだ工法を取り入れています」とあります。

 

コンクリートで直線をつくり

合理的な空間をよしとするモダニズム

何だかな~と思う人達によって

ポストモダンの考え方が展開されました

 

道路は都市間を最短距離で結べ

エレベータはより早く目的階に到達させるべし

急げ、走れ、頑張れと追い立てられ

ふと我に返って「得たものいくら?」と指を折ったとき

 

急がず、走らず、頑張らず、ご先祖さまのように

のんびり暮らしたってよいじゃないかという

ヒトたちが現れても不思議はありません

 

 

湾曲した落差工・帯工  2013.05.15

 

そこにある石を使い、

川幅を広げて流れを整え

暴れ川に対抗しました

 

川を渡った巨石の間には石段が置かれ

手で水をむすぶこともできます

設計は伊藤邦衛なる造園家だそうです

 

京都の庭園は文句なしに凄く

そこに籠められた作庭の智恵を

天然の森と川に応用したのか

人為が無理なく自然に溶け込みます

 

自然を絵に描く、歌に詠む、庭に移す

ヒトと自然のかかわりが即ち文化であり

見方を変えれば文化的行為は

自然の矮小化にすぎないのかもしれません

 

 

クサソテツ草蘇鉄  2013.05.15

 

天に向かって両手を開くのはクサソテツ

若芽はコゴミ(高知のワラビ?) と呼ばれる山菜です

あの美しい流線型をもつ縄文土器

この草蘇鉄をモチーフにデザインされた

というのは根拠のないボク説です^^

 

この世でいちばん気楽な芸術家はデザナーでしょう

森の植物を写すだけで

誰も知らないデザインが

ぽんぽん生まれます

虫眼鏡のひとつも持って行ったら

驚愕のデザインが無限にパクれますネ

 

 

奥入瀬川蔦川の吊り橋  2013.05.15

 

両手に糸の端をもって垂らすと

重力が自然な曲線をつくります

高知県宿毛市松田川河口の旧堰堤も

川の対岸に糸を張って流した曲線でした

数学の先生に訊くとこの曲線には

ちゃんとした方程式があるのだそうです

 

 

青森県八甲田山  2013.05.15

 

八甲田山と聞けば、かつて雪中行軍で

210名中199名が命を落した大惨事を連想しますが

遠くから眺めるかぎり、左右の山の稜線が

ひとつに交わって糸を曳く美しい山です

 

 

明石海峡大橋  2022.07.21 

 

阪神淡路大震災にも耐えた長大橋は

長いケーブルのそりと

ケーブルで吊られた橋桁のむくりが

美しい流線型をつくります

 

 

福井県若狭三方縄文博物館  2013.05.10

 

いささか牽強付会ですが

両手を合わせて指を広げたクサソテツ

重力にひかれて垂れる吊り橋のケーブルから

縄文土器を縁取る流線型を連想しました

 

 

秋田県鹿角市大湯ストーンサークル館  2013.05.26

 

瓶が実用を主とするものなら

縁の突起は不要ですが、それでは

なんかさみしいぜっていう気持ちが

装飾を付加させたのではないでしょうか

 

 

 青森県亀ヶ岡埋蔵文化材調査センター  2013.05.22

 

高山から雪崩落ちる裾野の曲線が

なんやしらカッコいいと思った縄文アーチストが

山を瓶に写したのではなかったかと

旅をしながら空想しました

 

2022.11.11 記 つづく

ひとり旅 221107 日本所々(2 五稜郭 京都 タイ ロシア

 

 

 

 

 

五稜郭の秋 2014.10.26

 

お洒落な洋服の日本女性が

秋真っ盛りの五稜郭へ向かいます

戊辰戦争の決戦場も

今となっては観光地です

 

秋の夕日に照る山もみじ♪

山には秋があるものだと信じ、若いころ

山を目指して自転車を漕ぎました

しかし小さい秋♪は見つかっても

高知の山は針葉樹の緑に覆われ

季節がないのでした

 

あちこち回った結論を申せば

秋は東北・北海道にあります

昼夜の温度差が葉っぱの

化学反応を誘発するのだそうです

 

 

五稜郭の秋 2014.10.26

 

秋の五稜郭を貸衣装の観光客が

嬉しげに歩いていました

傘を光背にしてシャッターを切ると

お顔が映えますネ^^

 

着物は内股でおしとやかにと

ヤマトの者は考えますが

そんなことはおかまいなし

裾がまくれてもどってことありません

 

 

京都清水 2016.05.19

                                         

コロナ前の清水寺界隈を

上海から来た若い女性が

着物姿で歩いていました

アルバイトして憧れの京都へ来た

日本のアニメが好き

Kimonoが着られて嬉しいと

ルンルン気分のようでした

 

長い歴史をもつ京都には、目に見えない壁があり、壁の向こうの文化世界は余所者が気軽に入れる空間ではありません。「いつでも遊びに来とぉくれやす」と言われて「ほんまに行ったら大変やで」と高槻在住の大阪人が諭してくれました。ウラとオモテ、本音と建前という安っぽい二元論ではなく、歴史の中で文化を磨いてきたクニに田舎者が簡単に入れないのは当然のことでしょう。

 

その清水で着付けをしてもらった日本人によると

都を徘徊する外国人の着物姿に話が及んだとき

「あらお布団の柄どす。お着物やあらしまへん」と

けんもほろろの言葉が返ってきたそうな

 

それでも着付け屋さんは

仕事だからと笑顔を振りまき

かぎりなく浴衣に近い着物を

たったの「5分で!」着せながら

心の中は葛藤に満ちているのでしょう

 

その筋の話に耳を傾けていると

知らない言葉がぽんぽん飛び出し

用語の縦糸と横糸が複雑に織りなされて

着物には不案内のぼくなど到底

理解不能の世界へ連れて行かれます

 

着物が分かるためには、

パソコン機能をひと通り覚えるほどの

長い努力が要りそうですが、覚えた用語と

文法が和服世界へ導いてくれるはず

知らない世界も分かってくれば興味津々です

 

長い年月をかけてつくり上げた着物文化には確定した形があります。「あらお布団の柄どす」と苦々しくつぶやく都の女性は、ゆるがせにできない文化空間を持ち、そこに侵入した外国人が異物排除されるのはある意味自然な成り行きです。浴衣も着物も一緒くたにされた日には「やってられしまへん」というワケです。

 

ところが面白いことに時として確定した美世界に波乱が起きます。なんと大学卒業式の日、着物の下にブーツを履いた女子学生がキャンパスを闊歩するのを見てぼくはのけぞりました!!! 着物と靴の組み合わせはとても許されることではないので、こいつら気が狂ったかと本気で思ったことですが、後で訊くとそれは明治期に開発されたファッションであり維新の革命気分が着物業界にも波及したのだそうです。

 

今でも成人式は若い女性の着物姿がまぶしいです。ルールがよくわからないおじさんには着物の上に様々な髪形がゆれる愉しい一日なのですが、通によると結婚式は角隠しに文金高島田と決まっているようにその場その場の髪形というものがあるようです。よさこい鳴子踊りじゃあるまいに晴れの日の着物姿にケッタイな髪形を乗せたらいかんと憤っていました。

 

 

アユタヤ北部の寺院にて 2018.09.09

 

しかし破壊と創造は

中合わせの存在なので

その文化的せめぎ合いが

新たな活力を生むのではないかと

ボクは考えたりします

 

着物は「呉」服屋で買うので

元はといえばChina発の服飾でしょう

それが日本で過激に発達し、世界広しといえど

着物ほど複雑で優雅な服飾はまずありません

 

かつて東京都知事

リオオリンピックの閉会式場で

スーパーマリオに扮した故安倍晋三首相とともに

着物姿で雨に濡れながら手を振りました

そのことの意味を完璧に理解した外国人がいたとすれば

さぞショックを受けたことでしょうネ

 

 

アユタヤ北部  2018.09.09

 

民族衣装の貸衣装で記念撮影

天を衝く寺院は恋人の聖地かも

 

 

アユタヤ北部  2018.09.09

 

夜目遠目笠の内というちょっと

危険な慣用句がありますけども

赤い衣裳と赤い笠は女性が秘めた

内面を浮き立たせるらしく

貸衣装屋さんは大賑わいでした

 

というようなことを

ウダウダと考えているうちに

外国人の着物姿も新たな風物として

観光文化を生みつつあるように思われ

 

観光地の着物も

卒業式のブーツも

成人式の髪形も

ぜんぶ許せる自分が見えました^^

2022.11.07記 つづく

 

 

 

 

< 2022年の現在史 >

「ロシア軍幹部、大統領ぬきで核使用・方法めぐり協議か・・」読売新聞2022.11.03との報道があり、プーチン大統領の影が薄くなる中、戦局に行き詰まったロシアは核使用をチラつかせています。小型核、戦術核と言葉の上では小さくともヒロシマ並の破壊力を持ち、とても使える兵器ではないと思いたいところですが、やればやられるのが世の常「相互確証破壊」が現実化し地球の色が変わることだって理論的にはあり得ます。

 

旧ソ連時のウクライナは1000発ほどの核兵器保有していました。ソ連崩壊のあと全部ロシアに差し出したのが間違いで、今も核保有国であればロシアの侵攻はなかったろうと言われます。そこでウクライナの「汚い爆弾」説が出てきました。材料は原子力発電所に山とあります。驚いたIAEAが査察したところその兆候はないとのことですが、ウロ戦争のみならず、もしも絶望に陥った独裁者がこの世を道連れにと考えたならば、世界に400基以上もある原発を片端から狙えばよく、その生命破壊力は核爆発を超えるのかも知れません。

 

ひとり旅220222号、220527号で全ロシア将校協会会長イヴァショフ退役大将の予言を引用しました。ロシアの軍人が開戦前に堂々と大統領批判し、独裁国にも勇気ある言論人が存在することに驚きましたが、それから9ヶ月後の11月7日現在イヴァショフ氏が描いたロシア敗北のシナリオはほぼ当たっています。「結果としてロシアは国際社会で孤立し、おそらく独立国としての地位を奪われるだろう」という悲惨な未来図が的中するかどうかは今のところ不明ですが、伝えられるメディア記事が正しければ、遠からずプーチン政権は破綻します。とすれば旧ソ連の復活を狙って起こしたプーチンの戦争によってプーチン自身が破滅するという皮肉な事態になります。

 

胡錦濤派を追いやり独裁色を際立たせたChina共産党下の中国では、スマホ(という名の人間管理装置)がなければ暮らしが成り立たないようです。帝国の祭壇にコンピュータが祀られ14億もの人民が生活の隅々まで数値管理される21世紀とは何と恐ろしい時代でしょう。陸橋に張られた反体制の横断幕ていどのことがニュースになる国に言論の自由はなく、民衆の意志は官憲に封殺され、もはや天安門事件の再現はないでしょう。事の本質を巧妙に隠し、ご注進記事に終始する特定日本メディアを見るかぎり、つくづく日本は情けない国になったものです。ことの責任の1/億はぼくにもあるのでイヴァショフ退役大将のように見たくない未来を見つめる努力が要ります。

 

独裁主義が行き渡り

人類は監視装置に怯えながら暮らすか、それとも

民主主義と資本がつくる大いなる矛盾の中で

人類はそれなりに自由を謳歌するか

二つにひとつのことが今するどく

問われているのだと思います

 

ひとり旅 221102  日本所々(1 沙流川  昭和新山 有珠山

 

 

 

 

北海道「萱野茂二風谷アイヌ資料館」周辺の秋  2014.10.21

 

今となっては8年も前のことですが

日本海フェリーで苫小牧に下り

とりたてて目的もなく地図を右へ走ると

平取町を流れる沙流川に行き着きました

 

1996年に屋久島在住の友人が、タイはカレン族の首長、カナダインディアンの長老、北海道平取町アイヌの末裔に声をかけ高知市の自由民権館で「先住民の杜フォーラム」を開きました。いわゆる少数民族の置かれた立場を理解してもらい、かつ自然環境を守りましょうといった趣旨によるものです。アイヌ代表は平取町二風谷生まれの国会議員故萱野茂氏を予定していましたが、事情で貝沢耕一氏と交替しました。

 

*小さなブログながら顔写真と固有名詞の露出には注意しています。が、貝澤氏は公的な立場にもあるのであえてお名前を置かせていただきます。ネットを探ると貝澤氏のお顔があらわれました。フォーラムがはねたあと拙宅の縁側で酒を酌みながらアイヌにまつわる四方山話を訊かせてもらったことです。あれから26年が過ぎ、玉手箱の白い煙のむこうで、ずいぶんお歳を召されたなと…当然のごとく鏡の中の我が身もまた^^!

 

そのとき耳にした沙流川「二風谷ダム」建設の是非というより無駄なダムゆえ真っ向から反対という話を訊きました。もめ事は両方の声を聴け、問題は現場を見て考えるべしというのがボクの主義なので今次二風谷ダムの湖畔を歩きながら素人目線で考えました。ダム位置は丘のような高低差しかなく水力発電には使えない。下流域の治水また工業用水として必要なのかも知れないが、川の流れをここで断ち切る理由があるのだろうか? 流れが止まれば水は淀み暮らしとともにある畑は湖底に沈む。しかしカネに苦しむ人の前に札束を置けば心はゆれる等々ひょっとすると旧建設省は水利以前にダムを造りたかったのではなかろうかと邪推しました。

 

ともあれ翌1997年札幌地裁は「地権者である故萱野茂さんと貝沢耕一さんが北海道土地収用委員会に、土地強制収容の裁決取り消しを求めた行政訴訟においてアイヌ民族を司法の場で初めて先住民族と認定」しました。ダム建設の課題は経済から政治へと移行したわけです。かつて北海道にはアイヌに向けた「土人保護法」なる荒々しい名称の法律があり、二風谷ダムは土建のみならず政治と人権の問題でもありました。

 

 

鏡ダム下ショートカット予定地の蛇行部

 

高知市中心部に鏡川が流れています。その上流に鏡ダムがあり、ダム下流域は山を回りこんで蛇行します。水が曲がると洪水時に滞留する⇒ショートカットしてさっさと流せという案が出されましたが、ダムの放水を真っ直ぐ市内へ下ろすと街に水が溢れる。もちろん清流は傷つけたくない等々仲間と一緒に反対しました。最終的にショートカットは中止されたので勝ち負けでいえばボクらは勝ったわけですが、工事が本当に公益のためであるなら断固やらねばなりません。してみれば小さな市民団体に言われて中断した建設案には元々無理があったのではないか、背後に怪しい何かがあったのではないかと…まあそのような経験から余所ながらの目で二風谷ダムの建設経緯を想像したことでした。

 

この段、秋を探して

北から南へ下りる予定なのですが

1枚の写真から思い出すことが多く

つい横道へ逸れてしまいました

 

 

昭和新山の秋 2014.10.24

 

昭和18年(1943年)だから昔の話じゃありません

麦畑から山が生えて昭和新山になりました

 

平成3年(1991年)には九州島原に

溶岩ドームが盛り上がって

平成新山が生まれています

 

 

有珠山火口  2014.10.24

 

昭和新山の麓から

ロープウェイで上がった有珠山

平成12年(2000年)に大噴火し

今も噴気を上げています

 

平成26年(2014年)9月27日

御嶽山が噴火し63名の犠牲者を出した1カ月後

ここ有珠山の火口を歩いていると

地元のテレビクルーと出くわし

 

マイク持ちが御嶽山の噴火でぼくをビビらせ

「怖くないですか?」と問うてきましたが

じつはその時まで有珠山がいつ火を吹くとも知れない

恐ろしい山とは知らなかったので口ごもりました

 

 

洞爺湖の向こうに羊蹄山 2014.10.24

 

山頂の紅葉は終わっていましたが

下界は秋の真っ盛りでした

 

 

 

< 2022年の現在史 >

今日の日経新聞2022.11.02一面に「米、対中規制に追随要求」と題し、米日台韓EU(とりわけオランダ)による半導体をめぐる対中包囲網が描かれています。台湾有事は中国有事でもあるとし非常時に台湾中国から邦人を脱出させる手だてについても解説しています。遠からず台湾中国ひょっと韓国においても非常事態が発生するかも知れません。とすれば台湾と目と鼻の先にある先島諸島また既にメディアは親中丸出しの沖縄本島においても混乱はまぬがれません。にもかかわらず国会与野党は時間潰しに必死です~~

2022.11.02記 つづく

 

 

 

ひとり旅 221026 バイク編(その4  風車 メルケル 天然ガス パイプライン 半導体

 

 

 

 

 

伊方原発のある佐田岬半島にずらりと並ぶ風車 2021.10.09

 

知り合いのオランダ人が四国の背骨に立つ風車を見上げ「ぼくはオランダ人だから風車は好きだ。だけどあの山に風車が置かれて山が小さくなった。神さまがどこかへ行ってしまった」と悲しい笑顔でつぶやきました。

 

 

ゴッホが描いた風車 ネットより

 

オランダの最高峰は322mだそうです。山といえば山ですが、丘よりは高いかなという程度でしょう。「低地の国々」にあるオランダはちょっと気を抜くと海水が浸入してくるので昔から風車が水を汲みあげてきました。ゴッホが描いた風車は、強風時にブン回る現代の風車とちがい、どこか頼りな気ではありますが、情緒的で絵になる風景です。

 

 

石の風ぐるま 愛媛県八幡浜市 2021.10.09

 

ゴッホの国からやってきたオランダ人が

風に吹かれてゆるゆる回る「石の風車」を見たら

いったい何を思うのでしょう

いつか訊いてみます

 

 

和歌山県有田川町の山中にて  2022.10.13

 

発電用の巨大な風車の下に立つと

トンネルに車両が突入したような

風切り音が気になります

 

ソーラーパネルと同じく風車の寿命は20年としたものです。美しい山に荒々しい道を付け、民家に低周波を与え、廃棄された残骸の山というシュールな風景は見たくないですね。それでも風力が大規模電源の代替として有効なら話は別ですが、風の力でこの世が救えるわけもなく、かといって妙案があるわけでもなく、所詮文明とは石油の海に浮かぶ小舟でしかないことを痛感します。

 

旧東ドイツで物理学を学んだメルケル前首相は原発推進派でしたが、2011年のフクシマ後「日本ほど技術水準が高い国でも原子力のリスクを安全に制御することができない」として脱原発に転じました。原発を危険視するのはドイツの勝手ですが、プーチンと仲よしのメルケルは「代替電源」をロシア産天然ガスに求めました。両国の友好関係がつづくかぎり正しい判断でしたが、フクシマから11年後の今年ウロ戦争が勃発し、NATOを敵視するプーチンの一声でパイプラインが止められました。冬を前にドイツを含む欧州全域がおののいています。▼よくわからない話ですが9月27日バルト海の海底パイプラインが何者かによって破壊されました。今日2022.10.26の日経新聞にはドイツ財務省「ロシア産ガス全廃をめざす」とあります。

 

 

2016年頃の写真  Photo Mikhail Svetlovネットより

 

2011年のフクシマ後

全国の原発が停止し

休止中の火力が一斉に稼働しました

計画停電という恐ろしい話もありましたが

よく乗り切ったものです

 

シンゾー、ウラジミールと互いに名を呼び合った二人が政治の舞台で微笑みを交わし、2016年には安倍晋三元首相の故郷山口県プーチン大統領を迎えました。日露の蜜月を演じる劇場でロシアは北方領土の返還を匂わせつつサハリンのガス施設への投資を誘い、原発電力を失った日本は天然ガス施設に投資しました。

 

 

サハリン⇒東京ガスパイプライン構想 ネットより

 

液化天然ガスを船で運ぶと高価な燃料になりますが、気体で送れば安くあがることから上記のごとく壮大なパイプラインが構想されました。しかしウロ戦争の最中ロシアがNATOへの恫喝としてパイプラインを止めたことからドイツ他の民主国は(たぶんキシダ日本国も)独裁国との約束は約束にならないこと知りました。

 

してみれば岸田首相がロシアに向け刺激的な言葉を投げた今、サハリン⇒東京間のガスパイプラインが稼働していたとすれば、プーチンがどう反応したかおよそ想像が付きます。▼中国には何も言えないのにロシアには強気を装うキシダとは何か? ツンと澄ましたテレビや新聞ではわかりませんが、玉石混淆のネットには日本国の近未来を読み解くヒントが置かれているように思います。

 

 

2月24日のウクライナ侵攻から8ヶ月が過ぎ

ロシア軍は南部から撤退し始めたようです

 

中国全人代ではなんと

胡錦濤がさらし者にされ

習近平の独裁が決まりました

もはやブレーキを失った習共産党の動きによっては

遠からず台湾侵攻が現実化するかもしれません

海上交通を失う日本も只では済みません

 

米中の争いを読み解く鍵は

台湾TSMC半導体にありそうです

かつて半導体は日本のお家芸でしたが

日米半導体交渉という名の横槍が入り

生産地は韓国と台湾に移りました

 

中国の弱点が半導体にあることを見抜いたアメリカは

日韓台をまとめて先端技術を囲い込む戦略を立てたと

ネットでは配信されていますが

ネットでバレる程度のことなら

中国は逆手を打ってくるでしょう

世界の動きは目まぐるしくこの先どうなるか

ぼくなどに読めるはずもありません、が

目をそらすわけにも行きません

 

「人権・半導体を軸にしたバイデン政権の対中制裁の強化と中国の応酬」と題した立命館大学名誉教授/関下稔氏の論文を読みました。2021.08.06脱稿とあるので、ウロ戦争を挟んだ今となってはやや古いかも知れませんが、ご興味の方はどうぞ。

file:///C:/Users/sukem/Downloads/ir_34_2_sekishita%20(2).pdf

 

2022.10.26記 つづく

 

 

 

 

ひとり旅 221021 バイク編(その3 2016年のフクシマ  藤田祐幸  China  太陽光

 

 

 

 

 

 

福島県飯館村長泥長地区の浸入禁止区域のゲート 2022.07.31

 

2022年現在

フクシマの道路は

ほぼ通行可となりましたが

まだ例外はあります

 

 

長泥地区浸入禁止区域手前の森の木の下  2016.10.02

 

事故後4年目の2016年

除染作業をしている友人の案内でここに来ました。

ロシア製の線量計が手に持つ高さで赤くなり

木の下に置くと5.67μシーベルトを指しました

ここを定点観測地とし

 

 

長泥地区浸入禁止区域手前の森の木の下 2022.07.31

 

事故後11年目の今年は

何度測っても2.5μシーベルト前後でした

セシウム137の半減期は30年なので除染作業と合わせ

多少は減衰したのかなとも…

 

そのむかし慶応大学の藤田祐幸先生に「半減期30年のセシウム137の放射線量が問題ないレベルまで下がるには何年かかるか?」という質問をしたところ「半減期を10回も繰り返したら安全といえるかもしれませんね」と…30年×10回は江戸時代です。先生は1986年のウクライナチェルノブイリ(チェルノーブル)原子炉事故のあと長くしつこく食品の放射能検査をやっていましたが、幸い慶応大学から届くニューズレターに有意の数値はあらわれなかったです。

 

余談ながら講演会の垂れ幕に「藤田祐幸教授」とあったのを見上げた先生は苦笑いし「私は教授ではありません。反原発をやっていたら教授にはなれません」とのこと。たしか先生は講師身分のまま退職し長崎大学へ移ったころフクシマの事故が起こり「もはや私にできることは何もありません」と嘆きつつ物故されました。

 

除染作業員の友人と組んで高知県梼原町で小さな講演会を開きました。放射性物質の「除染」とは具体的に何か? やっている当人が肌で感じた矛盾を語りたいというからオレひとりが聴くのも勿体ないし座談会でも開こうやということで、ペーパーを作っていたとき小泉純一郎反原発論が目に留まりました。原発推進者たる元首相がフクシマ後、反原発に転身し、核の論理を政治の言葉で分かりやすく否定した講演録です。橋本大二郎高知県知事の「それほどまでに国のことを思うのであればカネの話はするな」という磨き抜いた政治言葉と合わせ、やっぱこの人たちアタマいいわと感心しました。抽象語を操って得意がる大学生レベルではありません。

 

しかしながら小泉・橋本両者には、原子力を否定したあと「代替電源」をどうするか、既に発生した「放射性廃棄物」をどこに置くかという差し迫った課題への説得力ある対案がありません。政治家だから対案をもたぬわけはありませんが、それを数秒で語ることは難しいのか、そもそも語りようがないのか…

 

 

福島県飯館村  2022.07.31

 

フクシマ後ソフトバンク孫正義が社員だか友人だかの前で「津波の跡地に太陽光パネルを敷こう」日の光を受けて電気をつくる。放射能もCO2 も出さない。素晴らしい発電所だろ!?と提案しました。今となっては全国至る所にソーラーパネルが敷かれ、風車が廻り、光と風が電気需要を支えるかの勢いですが、待てしばし

 

ちょっと考えれば分かることです。太陽光発電は、使い方によっては有効ですが、不安的な発電だから支えが必要であり、出力規模において火力や原子力の代替電源とはなりえません。ソーラーパネルはCO2 を出さないと言っても製造、運搬、設置には火力水力原子力⇒石炭石油でつくった電気が要ります。

 

ソーラーパネルの大生産国たるChinaは石炭火力の国でもあります。地球の空はつながっている⇒黒煙を上げて無公害のパネルを作るだなんて冗談だろ? ウイグル他の奴隷労働も問題だ。きれいな森を剥いで黒い板を貼り、田んぼを塞いでパネルが並ぶ風景は美観を壊します。

 

そのパネルを戸建て屋根に張ることを義務化しようとする東京都知事は、Chinaに環境保護の(真実とはいえない)名誉を与え、日本のカネをChinaへ流す亡国の思想に囚われているのかもしれません。▼その辺りの問題に目をつむればソーラーパネルは、一時的には有効な発電になりますが、耐用年数を終えた20年後にどのような風景が見えるかは想像したくないですね。

 

じつは20年ほど前から拙宅の屋根にも畳1/4ほどのソーラパネルを1枚張っています。実験的に床下送風の小さなモーターを2つ回しているのですが、20年間回りっぱなしのモーターと合わせ、けっこう長持ちするものだと感心してはいるのですけど…

 

2022.10.21記 つづく

 

ひとり旅 221012  バイク編(その2 2014年のフクシマ サボロジエ原発

 

 

 

 

 

東日本大震災の2011年

2014年、2016年、2022年と

フクシマの放射線被害地域を訪ねました

 

津波被害は核爆発のようなもので目に見える悲劇がヒトの心をゆさぶりますが、見えず臭わず、計測器の数値のみが危険を知らせる放射能禍は何十年、何万年と静かに持続します。あれから11年が過ぎた今フクシマはどうなっているのだろうと今夏バイクで走りました。

 

車は前しか見えませんが、バイクなら風を受けて180度の視野が広がります。おやと思ったらどこでも停車でき、飽きたら進めばよく、解像力100%の風景を行く映画の主人公になったようなものです。作りものの映画には興味を失った今バイクは只でノンフィクションを見せてくれます。その(1) 2014年のフクシマを写真で拾いました。

 

 

福島県川俣町から飯館村にかけての道路脇 2014.11.02

 

山の除染作業とは

道路脇20mの幅で

落ち葉を掻き集め

巨大なフレコンに詰めて

遠くへ運ぶことです

 

 

フレコンの借り置き場 2014.11.02

 

 

秋の森に囲まれた農地にフレコンの土手 2014.11.02

 

当時飯館村の至る所に見られた風景ですが

2022年現在撤去されていました

おそらくフクイチ周辺に移動させたのでしょう

 

 

客土を運ぶトラック 2014.11.02

 

当時、岩手から福島に至る海岸沿いには

日本中のダンプが集まったかと思われるほど

走り回っていましたが今は静かです

                             

                        

飯館村の農地 2014.11.02

 

表土を剥ぎ

客土に置き換えて

工事完了ではありますが

 

農地の除染とは汚染された表土を剥ぎ取り余所から持ち込んだ土と置き換えることです。営々たる作業の結果いったん線量は下がりますが、山には放射性物質が溜まっているので雨が降ったら元の木阿弥です。

 

 

客土に置き換えた上に線量計を置いた  2014.11.02

 

上の日本製は0.76μシーベルト/h

下のロシア製は0.88μシーベル/h 

いずれも黄色ゾーン

 

一般人の年間放射線被曝限度量は1ミリシーベルト、職業人は50ミリシーベルトです。すると線量計0.88μシーベルト×365日×24時間⇒7.7ミリシーベルト/年なので、整地されたばかりの農地にヒトが1年間立ち尽くしたとすれば、足の裏は一般人の被曝限度を超えます。

 

 

県内各所に置かれた公式線量計 2014.11.02

 

公的な計測器は地上1m(性器の高さ)で測ります

経験的には「ぼく式地べた計測」で使う

簡易線量計の半分以下の数値になります

 

 

上記公式線量計の近くの茂みに置いた(上は不具合)  2014.11.02

 

数値は刻々変化し

場所によっても異なり

木の根元、水路の水が滞るところは

極端に高くなることがあります

 

6.36μシーベルト×365日×24時間⇒55.7ミリシーベルト/年なので

職業人の年間放射線被曝限度量を超えます(あくまで足の裏の話ですけど)

 

こまかい数値の意味はわかりませんが、

ロシア人が赤黄緑に色分けした危険サインは

この地で暮らすかどうかの判断材料にはなろうかと思います。

 

 

川俣町山木屋の秋 2014.11.02

 

山間の農村は高知にもありますが

「空は三角、山は壁」です

福島のように山々の稜線がゆるやかにうねり

丘のように流れる大地はありません

 

 

防犯パトロール  2014.11.02

 

どこにでも悪い奴はいるもので

無人化地帯を狙う空き巣対策の自警団です

「高知ナンバー」はとても目立つので

ぼくも追われました

 

 

休校時の川俣町山木屋小学校   2014.11.02

 

その自警団がここまで付けてきたので

「なんなおんしゃあ」

と心の中で喧嘩しながら

睨み付けたらUターンしました^^!

 

 

山木屋小学校の運動場2014.11.02

 

0.269μシーベルト×365日×24時間⇒2.36ミリシーベルト/年

運動場に1年間立ち尽くしたらヤバイかなという数字です

 

 

休校中の飯館中学校 2014.11.02

2020年閉校

 

 

飯館村中学校正門前 2014.11.02

 

2022年現在

問題のない数値に

下がっていました

 

 

黄葉もみじのお屋敷も無人  2014.11.02

 

 

秋の銀杏 2014.11.02

 

小学校で習った

「秋の夕日に照る山もみじ♪」は

東北の歌ではないでしょうか

四国では見たことのない風景がつづきます

 

 

除染作業中の民家の畑 2014.11.02

 

軽々に語ってはいけませんが

ウクライナの今を連想させる

十字架のようにも見えます

 

劣勢に立たされたプーチン大統領は今、戦術核を使うかどうかの瀬戸際にある。危機レベルでいえば米ソが核を突きつけあったキューバ危機以上だ。核をEMP爆弾として上空で爆発させる説も出てきた。これが使われると人体に影響はないが強力な電磁パルスがあらゆる電子機器にもぐり込み文明は終わる等々「ロシアのない地球には興味がない」というプーチン大統領が何を考えているかは76億全人類の命運とともにあります。

 

かつてウクライナは1000発ほどの核保有国でした。それをソ連崩壊後のロシアが召しあげたから丸腰のウクライナは「侵攻」されたのであり、もしもウクライナが今なお核保有国であったらロシアの「侵攻」はなかったろう説があります。死にたくないからやめようかという核vs核の「相互確証破壊」論です。

 

しかし核は爆発力兵器のみならず放射能兵器にもなります。ウクライナ南部のサボロジエ原発の電源が途絶えた。送電用のディーゼル燃料は10日分しか残っていないという恐ろしいニュースを見ました。フェイクだらけの戦争ニュースは眉唾ですが、それが真実なら欧州最大の原発群は、かつての福島第一原発と似た状況にあります。今朝10月12日のニュースでは同原発の副所長が10月10日「ロシア軍に拉致された」とあります。

 

核爆弾と原子炉のもつ放射能量は比較になりません。フクシマは原子炉建屋が吹っ飛んだだけであのような惨状を呈しましたが、かりにサボロジエ原発の炉心が環境に露出する事態になればモスクワを含めて欧州全域が放射能汚染されるでしょう。10月11日には「プーチン大統領IAEA事務局長が会談した」とあります。今ぼくらは独裁国家の恐怖をまざまざと目撃しています。

2022.10.12記 つづく