ひとり旅 221111 日本所々(3 奥入瀬川 蔦川 クサソテツ 八甲田山 明石海峡大橋  縄文土器

 

 

 

 

 

 

 

青森県奥入瀬渓流の春  2013.05.15

 

何も知らずに迷い込んだ

春の道がえらく綺麗でした

森を傷めないていどに舗装された道路を

遠慮がちに車が行き交い

 

 

奥入瀬渓流の散策道  2013.05.15

 

川沿いにはプロムナードが置かれ

渓流がつくる緑のトンネルを

ゆったりとした足どりの

ふたり連れが散策していました

 

 

奥入瀬川蔦川の渓流 2013.05.15

 

なんということのない奥山の流れですが

川には人工の仕掛けがあります

 

 

奥入瀬川蔦川の落差工  2013.05.15

 

川沿いの案内板に「蔦川は氾濫を繰り返す暴れ川であった。青森県砂防ダムや床固工、帯工等を整備し、周辺の自然に溶け込むよう護岸構造も川床の石を利用するとともに積み方も自然に馴染んだ工法を取り入れています」とあります。

 

コンクリートで直線をつくり

合理的な空間をよしとするモダニズム

何だかな~と思う人達によって

ポストモダンの考え方が展開されました

 

道路は都市間を最短距離で結べ

エレベータはより早く目的階に到達させるべし

急げ、走れ、頑張れと追い立てられ

ふと我に返って「得たものいくら?」と指を折ったとき

 

急がず、走らず、頑張らず、ご先祖さまのように

のんびり暮らしたってよいじゃないかという

ヒトたちが現れても不思議はありません

 

 

湾曲した落差工・帯工  2013.05.15

 

そこにある石を使い、

川幅を広げて流れを整え

暴れ川に対抗しました

 

川を渡った巨石の間には石段が置かれ

手で水をむすぶこともできます

設計は伊藤邦衛なる造園家だそうです

 

京都の庭園は文句なしに凄く

そこに籠められた作庭の智恵を

天然の森と川に応用したのか

人為が無理なく自然に溶け込みます

 

自然を絵に描く、歌に詠む、庭に移す

ヒトと自然のかかわりが即ち文化であり

見方を変えれば文化的行為は

自然の矮小化にすぎないのかもしれません

 

 

クサソテツ草蘇鉄  2013.05.15

 

天に向かって両手を開くのはクサソテツ

若芽はコゴミ(高知のワラビ?) と呼ばれる山菜です

あの美しい流線型をもつ縄文土器

この草蘇鉄をモチーフにデザインされた

というのは根拠のないボク説です^^

 

この世でいちばん気楽な芸術家はデザナーでしょう

森の植物を写すだけで

誰も知らないデザインが

ぽんぽん生まれます

虫眼鏡のひとつも持って行ったら

驚愕のデザインが無限にパクれますネ

 

 

奥入瀬川蔦川の吊り橋  2013.05.15

 

両手に糸の端をもって垂らすと

重力が自然な曲線をつくります

高知県宿毛市松田川河口の旧堰堤も

川の対岸に糸を張って流した曲線でした

数学の先生に訊くとこの曲線には

ちゃんとした方程式があるのだそうです

 

 

青森県八甲田山  2013.05.15

 

八甲田山と聞けば、かつて雪中行軍で

210名中199名が命を落した大惨事を連想しますが

遠くから眺めるかぎり、左右の山の稜線が

ひとつに交わって糸を曳く美しい山です

 

 

明石海峡大橋  2022.07.21 

 

阪神淡路大震災にも耐えた長大橋は

長いケーブルのそりと

ケーブルで吊られた橋桁のむくりが

美しい流線型をつくります

 

 

福井県若狭三方縄文博物館  2013.05.10

 

いささか牽強付会ですが

両手を合わせて指を広げたクサソテツ

重力にひかれて垂れる吊り橋のケーブルから

縄文土器を縁取る流線型を連想しました

 

 

秋田県鹿角市大湯ストーンサークル館  2013.05.26

 

瓶が実用を主とするものなら

縁の突起は不要ですが、それでは

なんかさみしいぜっていう気持ちが

装飾を付加させたのではないでしょうか

 

 

 青森県亀ヶ岡埋蔵文化材調査センター  2013.05.22

 

高山から雪崩落ちる裾野の曲線が

なんやしらカッコいいと思った縄文アーチストが

山を瓶に写したのではなかったかと

旅をしながら空想しました

 

2022.11.11 記 つづく