ひとり旅 230422 < 2023年の現在史 >  AIと人間

 

 

 

 

 

日経新聞2023.04.21 ”AI Impact”によると「相手の兵士をロックオンすると人工知能(AI)が400m先の群集の中から自動で検知する。標的の動きや風速を計算して照準が追尾し、あとは引き金を引くだけ…」と兵器のロボット化を刺激的に描いています。

 

顔認証はスマホでも空港の入管でも使われています。Chinaでは国中に張り巡らされた監視カメラとスーパーコンピュータによってスマホをもつ人民の位置が分かるのだそうです。指紋は指にありますが、ヒトの歩き方にも指紋に似たクセがあり、今どきのドローンは上空から個人を特定し、遠く離れたディスプレイ上で狙撃することだってできるそうだから恐ろしい時代になりました。

 

兵器のロボット化は33年前の湾岸戦争の頃から論じられてきました。兵士の命を危険にさらすのは忍びない⇒機械にやらせようという思想が現実化し、21世紀の今は弾丸もミサイルも意志をもつかのごとく敵に向かいます。

 

敵がロボット兵器を使うならこちらもロボット兵器で対抗する⇒機械と機械が対抗するのだから相互の戦力を入力すればディスプレイ上で結果が判明する⇒戦う意味がない⇒ヒトの命が救われる…ことになりますが、戦争には「恨みを晴らす」という目的もあり、図上で兵棋演習するだけでは納得できないだろうというようなことを故江畑謙介氏が書いていました。ヒトの恨みは血を見るまで収まらないようです。

 

わが日本国にはAI技術で殺しの腕を磨くより

AI歌壇で短歌を詠ませようとする人たちがいます

Chat GPTに「アートの森」と入力すると

「恋するAI歌人」は以下の歌を詠んだそうです

 

アートの森魔の森よりほの青く露に濡れたり芝生に立てば

 

分かったような分からんような歌ですが、末尾「芝生に立てば」の倒置法が俵万智風でオモロイです。事情を知らない先生が、このような歌を生徒から手渡されたらイミフだけれどシュールで面白い「あんた頑張りなさいよ」と生徒の才能を讃えるかもしれません^^!

 

Chat GPTはとても賢く、学生にとっては地獄のレポートをわずか数十秒で書き上げてくれます。しかもレポートを書いたのが学生であるかAIなのかは、もはや判定不能な状態らしく、したがって卒業論文も作文コンクールも意味をなさない時代になりました。★口頭試問すればボロは出ますけど…

 

そのAIは音楽界にも進出し、すでに誰もが知っている歌の中にも忍び込んでいるようです。才能あふれる作曲家のヒット作が実は機械の歌だと知った音楽ファンはどう反応するのでしょう。だまされたと思うのか、まあいいじゃんとおおらかに愉しむのか…

 

作曲するくらいだからAIはお絵描きだってやってのけるはず、カンディンスキーやミロのような抽象画を真似ることなら朝飯前でしょう。西洋の肖像画や日本の浮世絵美人を片端から記憶したAIは、写真技術と相まって「創作」めいた人物画を描きそうです。音楽や絵画にかぎらずAIは透明人間のごとく日常の隅々まで忍び込み、すでにぼくらは気付かぬところでAIと共存しているのかもしれません。

 

バーチャルリアリティーは20年も前から研究されてきましたが、ついにSONYは仮想空間に没入し自分が主役になれる新たなゲーム戦略を展開するようです。任天堂はどうなんだろ…とつい日本人ぼくは遊び感覚でAI世界を想定します。虚が実に侵入すると、会社でつらい仕事をする自分はウソの自分、華やかな仮想空間でヒーローを演じる自分がホントの自分ということになりかねません。事の真偽は他人には説明がつかず、人類はゲーム機の前で真実とは何かという哲学的命題に悩むことになるかも…というより自室の御籠り君によって既に虚実の境は不文妙になっています。

 

ではAIないしChat GPTは「創作」するかと問うとき

創作めいたことはやっても所詮AIは道具にすぎず

機械は形をつくるけれど、形を見るのは人間であり

素晴らしい作品も見る人がいなければ

無意味だと思うわけです

 

そのように平和のクニ日本のぼくはAIから芸術を連想しましたが、戦争好きの白人ないし大陸人はAIを武器応用したがるはず、歴史を振り返れば戦争が科学・技術を後押ししたわけで、次なる争いがどのような形をとるかは予断不能です。つづめて言えば戦後77年つづいた平和の賞味期限は終わったようだとブルーな気分です。

2023.04.22記 つづく