“短歌とAI”というテーマで友人たちとメールのやりとりをしています。歌好きのひとりは吟行先で詠んだ歌を遠慮がちにアップしてくれるのですが、苦心惨憺して三十一文字に詰め込んだ創作をポンと置かれると評論家みたいに理屈を並べていた自分がバカに見えますね。その短歌の世界にもAIが侵入しヒトと機械の境が曖昧になってきました。
パソコンに俳句を作らせる遊びは40年も前から行われていましたが、俳句より長い短歌はちょっとした物語になるので当時はまだイミフな文字の羅列でしかなかったようです。ところがAIが人間を超えたかもしれない今、短歌どころか大学推薦入試の募集要項に「Chat GPTは使わないでください」との注意書きがあらわれるに至りました。SBの孫正義によると目下特訓中のChat GPTが人類の知識の総和を超える日は遠くない。その演算能力はヒトの10倍100倍~10000倍という恐ろしいことになる。そのとき人間は何をすればよいかと悩むより、そこに新しいビジネスチャンスがあると捉えるべきといった話をしています。考えてみれば、ぼくらはポケベル⇒ピッチ⇒携帯⇒スマホという恐るべき変化に耐えてきたわけでもあります。
そんなことを考えていたところへ昨夜フクシマで働いている知り合いから「ついに原発敷地内で仕事をすることになりました」云々の電話がありました。こちら高知は夏からいきなり冬に入り首にスマホをぶら下げて野良仕事をしながら長話をしたことでした。結論だけ申せば2011年の津波⇒炉心溶融から12年が過ぎ、除染作業の効果もあってか放射線量は「あの頃とは比較にならないほど薄れてきた」「作業員に対する被爆防止、線量管理は恐ろしく厳密だ」とのことです。
短歌⇒俵万智⇒フクシマという連想から
石垣島を思い出しました
2011年フクシマ原発の放射能を恐れた彼女は幼い息子を連れて石垣島へ移住しました。東日本が破滅しても台湾がすぐそこにある先島諸島まで逃げれば…と考えた彼女は、逃げられない人々から羨望がらみの批判を浴びもしたようですが、そこは母親の強さで振り切ったようです。その2年後、
2013年にダイビングのお師匠さんと石垣島を訪ね、砂糖黍を絞って飲ませる海岸沿いのお店に寄ったとき俵万智の写真とサインをみました。一筆書きで「俵」と書いた結びの三角形がカッコよく以来そこだけ真似る習慣がつきました^^ 「へえ彼女こんなところに住んでんの」と言ったらお師匠さんは事もなげに「訪ねてったらどう」と提案してくれましたが、ぼくは脈絡もなく女性の有名人に声をかける度胸は持ち合わせていないので話はここまでです。ネットを探ると以下の歌がありました。
シュノーケリングした日は思う人間は地球の上半分の生き物
シュノーケリングした日の「上半分」とは水上に浮いた自分のことでしょうか、浅瀬に浮かぶ彼女の水中メガネの下に諸々の植物生物がみえたのでしょう。干潟に膝を立てたような膝根が並ぶ「オヒルギ」マングローブの花は椿みたいにボロッと落ちます。「カヤック」にはエンジンがないので凪の日は静かなものです。そのような風景の中で育った息子さんはもう立派に成人したはず彼女今どこで何をしているのでしょうか。
石垣島の川平湾 2013.09.22
彼女の居住地から遠くない川平湾は
白砂に透明な水が流れ込む観光名所です
沖縄本島嘉手納基地前のサンゴの海 2013.09.30
ダイビングのお師匠さんが指を鳴らすと
スズメダイが寄ってきました
俵さんはこのような川でカヤックを滑らせたのでしょう
「無言の川」とはいえ春の森は鳥の歌声で賑やかです
白浜から巡航船で舟浮へ渡り4月の森に響いた
恋人を呼ぶ野鳥の澄んだ歌声が忘れられません
南の鳥は声も姿も美しいです
マングローブにも各種あり
ダマシ、モドキと酷い名を付けられたのもありますが
タコ足で立つヤエヤマヒルギは愛嬌ものです
2023.12.24記 つづく