ひとり旅 231208  特攻(9) 道草編   錦帯橋は“平和の橋”  岩国発オスプレイ墜落

 

 

 

 

 

岡山県岩国市の錦帯橋  2023.10.03

 

ローマ人も中国人も石のアーチはこさえましたが

木造アーチ5連橋はたぶん世界でこれだけ

江戸初期に殿様の道楽で造られた錦帯橋

増水時に流されては再建され今も原形を保ったままです

 

 

深い峡谷を渡る猿橋   2014.11.06

 

岡山県錦帯橋山梨県猿橋」長野県「木曾の桟」は日本三大奇橋のひとつとされます。猿橋は今も中学生が峡谷を渡る木造実用橋であり、松尾芭蕉が“かけはしや命をからむ蔦かずら”と詠んだ木曾の桟もまた木造実用橋でした(今は原形を留めません) 三者とも木造という点で共通していますが、錦帯橋が実用橋であるかどうか…

 

ヒトは渡るために橋を架けますが、どう考えても

錦帯橋が渡る必要あっての橋とは思えないのです

歩いてみればわかりますが荷物を抱えて半円上を登るのは難儀だし

中央部の高さが川船の交通に便宜を図ったわけでもなさそうです

義経と弁慶が橋上の争いをするなら絵になりますが

いざ鎌倉という緊急事態にはむしろ邪魔でしょう、したがって

暇を持て余した殿様のお遊びであったと…

 

 

橋詰で先生のお話を聞く小学生  2023.10.03

 

両手で膝を抱えて坐らせる方式は戦後の発明とか

ヒトは従順な姿勢をとると反抗心が失せるそうです、 でも

武士の子がこの姿勢をとったとは考えにくいですね

 

それはさておき今も昔も

小学生は元気一杯です

 

 

遠足の小学生  2023.10.03

 

よい子のみなさんは、あっちを向いたり

こっちを向いたりして賑やかです

渡る実用の為に設計された橋ではないので

足裏に伝わる木の感覚をたのしみながら

上ったり下りたりする遊園地なのでしょう

 

 

スマホすりすりしながら

ゆったり歩く作務衣のおっさん    2023.10.03

 

 

木の橋脚  2023.10.03

 

両サイドの導入部はゆるくたわんだ桁橋です

洪水時にはかなりの高さまで水が来るはず

過去なんども流されたそうです

 

 

実用的お洒落  2023.10.03

 

木の橋脚には雨露をしのぐ

お洒落な屋根が施されています

 

 

 

 

 

石の橋脚で支えられる中央部3連の木橋  2023.10.03

 

角度をもつ橋脚の尖端は

斧の刃先のように鋭く水を切ります

軍艦のように腹部は広がり河口部で閉じ

洪水時の水をいなすのでしょう

 

 

仰いで見た橋桁  2023.10.03

 

橋脚付け根は

木層を重ねて厚く

先に行くほど薄くなり

中央でつなぐとアーチが完成します

 

ぼくなど三角と四角を組み合わせ

関節を鉄で補強する繰り返しを

きれいな形だなあと見上げるだけですが

構造が読める人なら遠い眼差しをすることでしょう

力の掛かり具合を数式であらわせば

美しい“模様”まで見えそうです^^!

 

 

中央部3連の橋桁  2023.10.03

 

橋脚の丸みと橋桁の曲線

赤味をおびた花崗岩と木肌の風合いが調和し

形も色も江戸期の平和を映すかのようにゆったりしています

どう考えても戦乱で目を血走らせた時代の作品ではなく

経済合理を求めてお江戸日本橋の頭上に高速道路を走らせた

戦後モダニズムの狂乱でもありません

 

 

腐食部の補修作業  2023.10.03

 

20年ほど前に改修後の錦帯橋を見たときは

ぴかぴかの木肌でしたが、長い年月を経た今

「木は痛むので補修してあげねば」

とのことでした

 

 

観光客  2023.10.03

 

観光バスを降りた乗客は

ここから橋を見上げます

 

 

錦帯橋遠望  2023.10.03

 

行楽期には洲の駐車場が車で埋まることからも

この橋を平和の産物と称して異論はないでしょう

技術文明が進み戦争に至る今の世界で

この橋を着想することはできません

 

 

錦帯橋脇の佐々木小次郎像  2023.10.03

 

その平和な江戸時代に

佐々木小次郎はここ岩国で生まれ

柳の下で「燕返し」の技を編み出し

宮本武蔵との決闘に挑むことになりますが、さて

わからないのは長刀をもつ銅像の右手です

 

写真を拡大してもらえればお分かりですが

これは鉄棒にぶら下がるときの握り方であり

右手が逆手では打ち込めず、切り返しもできず

櫂でぶっ叩かれる他ないのではと、つい

いらん心配をしてしまいました

深い理由があるのかもしれません

2023.12.08記 つづく

 

 

 

< 2023年の現在史 >

岩国の米軍基地を出たオスプレイ屋久島沖に墜落しました。同機は構造上安全性に問題があるといわれますが、純ヘリだって墜ちることはあるわけで、気になるのは事故の伝え方です。毎日新聞ヤフー記事2023.11.30は見出しに「米軍オスプレイ墜落“街に落ちていたら” 屋久島住民に不安」と置き、記事末尾は「政府は中国を念頭に南西諸島の防衛力を強化する“南西シフト”を進めており、九州・沖縄は南西防衛の最前線となりつつある。同町に住む女性(71)は同県西之表市の無人島・馬毛島で自衛櫂の基地建設が進んでいることに触れ“今までこういう事故はなかったが、これからが不安だ”と明かした(以下記者7名の氏名列記)」と結んでいます。

 

何気なしに読めば只の事故記事ですが、そこには米軍パイロットの命に対する哀悼の意は儀礼的にもなく、中国に対抗すべく日米が防衛強化することを批判的に描いています。砕いて言えば、中国が第一列島線を広げ日本を圧迫することは問題ないが、日米が軍事的対抗のため馬毛島に新基地を造ることは問題だ。だって種子島の人が困るだろと(国家論を個人感情に落して)正義めかした偏向報道です。

 

ざっくり日本メディアはこういった論調ですが、かれら国を失ったあと個人の誇りはどうなるのか考えないのだろうかと不思議でなりません。郷土のためチームのためは良いけれど国のためと言った途端に右翼極右のレッテルが貼られ、議論が制されて78年になります。国防を否定しかつ幸せに生きられた戦後生まれのぼくら世代はラッキーでしたが、これからの若い世代は大変ですね。