台湾ひとり旅⑥ 台北101 Plus 高知駅舎と牧野記念館

ちょっと強引かな、まいいやと目をつむってアップしたところをaiさんより「ねじれたビルは使い勝手はよいのでしょうか? あまりよさそうにも思いませんが、、(笑)」と鋭いご指摘をいただきました。


あのビルは、たまたま台北101から見下ろした風景の真ん中にあったので、カネと資材をふんだんに使ってこんな遊びができる建築家って羨ましいなと思う反面、住居えらびに失敗した住み手は大迷惑なんだよな等々いろいろな思いが錯綜し、つい話のオチに使ってしまいました。


残念ながら建物の中までは入っていませんので、あれが会社のオフィスであるのか、マンションであるのかは確認していません。かりにマンションだとすれば、南向きに陣取った金持ちは広々としたバルコニーで日光浴ができて嬉しいやろなと思うわけです。ただしその住まいが自分にとって本当に快適かどうかは実際にお金を払って(ここが肝心)住んでみるまでわかりません。


重さは下から支えるものですが、あの建物は階層ごとに天秤棒でぶら下げる形になっています。捩じれた上層階で暮らしているうちに景色もよいし日当たりもよいのだけれど、なんやしらん足元が不安やでということになったらヤバイです。根無し草でも浮草は水に浮きますが、何かの拍子に階が崩れたらえらいこと、もちろん安全係数掛けまくりの構造計算をしているはずですが、心理的にはどうなのでしょうね。足元覗いたら下がないッて夜ごと悪い夢を見たりして、、、


そのむかし細川護煕熊本県知事が現役のころ「くまもとアートポリス」なる建築コンペを始めました。世界中から建築家が集まって奇妙奇天烈な空間をひねり出した中に集合住宅があったので見学に行きました。人生の大決断をしてそこに住まいを求めた人がいるわけですから滅多なことは言えませんが、友人と宅地を歩きながら「テーマパークならいいんだけど一生こんな空間に住むのはちょっとな」と小声で話したことでした。金満バブルで狂気じみた時代でした。


ご興味があれば「熊本中央警察署」を検索してください。Tポイントのマークをミラーガラスにしたような前衛建築です。車の窓から見るだけで充分に不気味で、この署にしょっぴかれたら観念して吐くしかないやろなと、、「傾いた交番」なんてのもありました。その前を歩きながら、ここのお巡りさんはアタマおかしくなって誰かれなしに逮捕するんちゃうかと、これも小声で、、、そのころ仕掛けた警察建築の続きかどうか知りませんが、高知中央公園KOBANもちょっとどうかなと思いますね。コバンって看板からしてぶっ飛んでます。


意地の悪い言い方をすれば建築家は、遊んでギャラ貰ってバイバイすればよく、責任がなくなったところで、あれヤバかったでてな話をしているのかも、、ところが大枚はたいた住み手はそこに固定されて人生を送る他ありません。バブルの頃ステップ償還という新発明がありました。会社は続く。給料は上がる。今は貧しくとも君の人生はバラ色だ。とりあえず小額の支払いから始め、給料が上がる何年か後に支払額を上げればよいという仕掛けです。ほとんど詐欺ですけど、みんなバブルで舞い上がっていたので引っかかった人もいます。こんなものを認可するなんてお役所も信用ならんぞと今では思います。


オリンピックは選手のお祭りですが、ゼネコンと建築家のお祭りでもあります。前の東京オリンピックでは丹下健三が吊り構造の代々木競技場を設計しました。鮑が複葉機になったような優雅な建築で宮崎駿が絵に描いてくれたら壁に飾りたいなと、、隈研吾設計の新国立競技場は工事が続いているはずですが今どんなでしょう。隈研吾氏は梼原町と縁が深く隈ブランドの建築が町に4つあります。梼原町で6年暮らしたぼくの町税は、氏が設計した恐ろしく立派な町役場の窓ガラスの一枚くらいにはなったはず^^! 世界の耳目を集める競技場がどう造られるのか建築オリンピックにも注目しています。


オリンピックは服飾デザイナーのお祭りでもあります。小池都知事は、あのへんてこりんなボランティア服を排除するというとても立派な仕事をやってのけました。ぼくは卓球が大好きで平野美宇と橋本帆乃香のファンなのですが、競技もさることながら今年の新ユニフォームがどうなるかもたのしみです。主観の問題はあるにせよ世界卓球の場で日本のデザインは群を抜いています。蛇足ながら舛添前都知事がボランティア服を発注した某国卓球チームが着ていたユニフォームは目を覆うばかりでした。あの国には素晴らしいカットマンがいるのに不細工なシャツ着せられて可哀ソ、、


台北101は資源とエネルギーを使いまくる都市空間は文明の形としてどうなのかと考えた一文です。ぼくが理屈を述べるより、高知へ来られる方には、ぜひ高知駅舎でゆっくりして五台山のてっぺんにある牧野記念館へおいでください。両者とも内藤廣氏の作品です。南北吹き抜けの通路をもつ高知駅を二階に上がると東西に鉄路が走り列車と一緒に雨も風も入ります。鉄と集成材で構成された蒲鉾型のドームを遠くから見るとゲジゲジのマシンが這っているようにも見えてどこか愛嬌がありますね。内藤廣氏の講演によると、建設中の牧野記念館を高須の国道から見た人が「県はまた山のてっぺんを剥きやがってジェットコースターでも造るつもりか」と悪口を言われたそうですが、仕上がってみれば二つの馬蹄形の建築を細い道で繋いだ静かで知的な空間でした。「周辺の樹木より背の低い建物があってもいいじゃないか」「緑に埋もれて外から見えない建築があってもいいじゃないか」という昔ながらの未来的な提案なのでしょう。

 

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上記の aiさんとは何の関係もありませんが、
台北の地下鉄でたまたま出会った愛ちゃんの写真を添付します。

 

180131記