釜山港のチャガルチ市場 2002年夏
1982年にモロッコ在住の友人を訪ねて「ひとり旅」しました。決死の覚悟で借金し、英字新聞の広告欄でヒコーキの安切符を求め、生まれて初めて空を飛びました。搭乗券とは何か? 乗り換えとは何か? という戸惑いから始まった旅なので北京⇒ラワルピンジー⇒ドバイ⇒パリ⇒ラバトと南回りの長旅を終えたころには心がへとへとでしたが、ラバト空港で友人の顔を見つけてほッとしたことを覚えています。
モロッコで旅にめざめた翌年の夏、どこでもよいから海の向こうへ渡るべしと地図をひらいて財布と相談した結果、下関⇒釜山の旅を思い付きました。港の市場に魚がならび、アジュマの声が遠慮なく飛び交う釜山港の風景が、ぼくにとってはKoreaの原点です。関釜フェリーには何度か乗りましたが、庶民の暮しが軒先に見える魚市場は30年後の今もまあ似たようなものでしょう。隅々まで清められ無数のルールがヒトの心を縛る日本にはない風景です。写真は2002年に友人と連れ立って「ふたり旅」したときの市場です。
かつて日本人が建設した赤煉瓦の旧ソウル駅 2002年
列車でソウル駅の地下に降りましたが、人だらけハングルだらけの下車口からどう行けば外に出られるのか方向がわかりません。さて、どうしたものかと考えていると日本歴より外国歴が長い友人はチラと周りを見渡したあと迷わず歩き始めました。タイ語の読み書きができ英語で仕事をする友人もハングルはさっぱりですが、知らない土地でも歩き方にはコツがあるらしく、だらだらと行くうちに外へ出られました。「なんで方向が分かったの?」と訊けば「困ったときは流れにあわせて歩けばよろしい」のだそうです。目で理屈を考えがちなぼくは戸惑いましたが、情と体で決める「地球の歩き方」もあることを知りました。右脳と左脳の使い分けともいえますね。
ソウルの酒場にて 2002年夏
写真は友人と知り合いの某紙日本人記者とソウルの酒場で会ったときの一枚です。飲み屋が混雑しているときは右手を突き出し給仕に向かって「ヨギヨー」と叫べばよいことを記者から学びました。Koreaでは声は大きいほど有益です。その昔タイの奥地で友人の事業を取材した記者と思い出話に花が咲き、鍋をつついてメクチュでカンペー。どこかKoreaの酒場には魚市場の飾らない雰囲気があります。ご相伴にあやかったぼくはビールを飲みながらお二人の話に耳を傾けました。▼人さまのお顔を勝手にアップするのは憚られますが、このくらいピンボケなら問題ないでしょう。
北朝鮮がミサイル開発を始めた20世紀末、日本では金正日総書記によるミサイル発射実験の話題でもちきりでした。酒場の話題はミサイルに移り「実際問題として北のロケットはどうなのか?」と尋ねたところ記者は「いやあ、あれは恐ろしい。防衛庁のしかるべき立場の人物に聞いた話だが、北のロケットはどこへ落ちるか分からないので逃げようがないのです」とマジ顔で笑わせてくれました。
仁川空港近くの海水浴場 2006.07.30
それから4年後またしても北朝鮮はミサイルを撃ち日本メディアは大騒ぎしました。ミサイルどころかソウルは北側から砲撃すれば弾道飛行で届く距離にある。韓国では深刻な騒ぎになっているにちがいない。ヤベえなと思いながら仁川空港へ降り、迎えに来てくれた友人たちと車に乗りました。ところが韓国人には全く緊張がなく、遊びで寄った空港近くの海水浴場には若い子が群をなし、日本で言えば花火大会のような雰囲気でした。
夜の海水浴場にて 2006.07.30
渚の水は足の裏から人の心を悦ばせます
だあれも戦争が始まるなんて思っていません
「ミサイルはどうなの?」と訊くと彼、笑って
「あれは高いところを飛ぶので僕たちには関係がありません」
と洒落た冗談でいなされました
漢江 向こうは北朝鮮 2002
緑で覆われた韓国側から対岸を見ると
北朝鮮には禿げ山が連なります
大雨が降ると表土流出はまぬがれないでしょう
世界最貧国に数えられる北朝鮮の
庶民の暮しがどうであるかは
押して知るべしです
板門店にて 2002
また会おう南北頂上会談 2000.6.13~15
“われらの願いは 統一…”
朝鮮は民主主義にまもられた人民の共和国であり
その向こうにはプロレタリアート独裁を謳う人民の共和国があります
政治の言葉は反転させると真実が見えます
民主主義とは独裁の別名であり
無産階級が独裁するなどという矛盾は小学生でも分かります
北の金正日総書記は生涯現役の独裁者でした
両者が手を組み、仲よくなったり、別れたり
両者につづく
憎しみを忘れ、両手を組んで
軍事分界線を行ったり来たりしましたが
ある日、別れ話が来て
あれが演出であったことは
今となっては誰もが知っています
2023.04.07記 つづく
< 2023年の現在史 >
「台湾有事は日本の有事」と語った安倍晋三元総理が暗殺され、秘密保護(セキュリティークリアランス)を法制化しようとする高市早苗特命担当大臣が立憲小西議員に辞職を迫られ、日米蘭が中国に対し尖端半導体の防衛策をこうじたところ中国在住の日本人職員がスパイ容疑で逮捕され、早期解放のため中国へ向かった親中派の林芳正外務大臣は成果なくもどされ…歴史が激しく動くなか4月6日には宮古島沖で元幕僚長を乗せた自衛隊ヘリが墜落しました。真相は不明ながら只の事故とは思われない説も流通しています。
海の向こうでは、トランプ前大統領(次期大統領候補)が、ショーもない問題で起訴され、アメリカは民主党vs共和党という形で(かつての南北戦争のごとく)分断されようとしています。それを伝える日本メディアは(民主党べったりの)CNN他の大手ニュースを無批判にコピーするばかり、強制徴集金で運営するNHKさえ伝えた内容を反対側から引き戻す中立努力が見えません。われらが高知新聞は共同通信の(怪しげな)配信記事をコピペしただけといえば失礼ですが、どう考えても共同はアレなので、およそ中立性に欠けます。
頼みの綱はなんでもありのネット記事ですが、これまた情報操作の魔手が忍び寄っているかも知れず、つまるところは自己責任で取捨選別する他ないのでしょう。しかしながらYahoo!ニュースやYouTubeには書き込み欄があり、そこには良識ある市民の声が満載されているように思います。「きみはどう思う?」と問われ、オリジナルの意見を開陳する人もなかには居るでしょうが、面倒くさい言語操作をするよりネットの中で自分の意見を探した方がてっとり早いですね。一人の論説委員より良識ある市民の千の声を拾った方が有益かと思われます。
ロシアには大物がいるけれども実務家がいない
日本は小物だらけだが市民の中に智恵がたまっている
と、うまいことを言った人がいます
ネットのカキコにはズンと来る文字が一杯です